夜桜の撮り方|美しい夜桜を撮るカメラ設定と7つの撮影テクニック
「桜を撮るぞ!」と意気込んだけど、なかなか思うように撮れない方へ。
桜は身近な被写体ですが、見た目の印象と写真のギャップが思った以上に大きく難易度が高い被写体です。
初心者でも失敗しない夜桜の撮り方を紹介します。
Contents
桜を撮るなら夜桜をおすすめする理由
夜桜は光の演出ができあがっている
桜の花びらは薄いピンク色です。この薄いピンク色を写真で表現するにはデリケートな露出補正が必要です。日中は桜の花と周辺の明暗差が大きく、直射日光が当たる条件では、花びらが白く飛んで失敗するケースが良くあります。
一方で、夜桜は桜の花が美しく見えるようにライトアップされています。つまり光の演出がすでにできている、恵まれた条件で撮影できます。
ライトアップされた桜の花に露出を合わせると、暗い背景は黒く潰れますが、そもそも夜の写真なので黒くつぶれても不自然さは感じません。むしろ背景が黒くシンプルになるので、主役である桜の花を浮き立たせる効果があります。
またライトアップの条件が変わらないので、よほどの強風や雨天でない限り、安定した条件で撮影することができます。
夜桜は邪魔なものが写りにくい
風景写真で初心者がよくやってしまう失敗が、余計なものが写り込んでしまうケースです。特に桜のシーズンは観光客や歩行者に加えて、三角コーンやブルーシートなど目立つものがあちこちに散らばっています。
夜桜は昼間ほど歩行者の数が多くないので、画面に入りこむリスクが減ります。また、三脚を使ってスローシャッターで撮ることで、通行人を消すテクニックも活用できます。
さらに、ライトが当たっていない場所は暗く潰れるので、余計なものを違和感なく排除してくれます。
夜桜撮影の準備とカメラ設定
カメラと撮影機材
- 一眼レフまたはミラーレスカメラ
- 三脚とレリーズ
- 標準レンズと広角レンズ
夜桜を撮る基本的な機材は夜景撮影と同じです。
ライトアップされた桜は意外と明るいので、ISO感度を上げれば手持ちでも撮ることができます。しかし、画角をきちんと決めて、ノイズの少ない鮮明な写真を撮るために、三脚を用意することをおすすめします。撮影場所によっては三脚が禁止されていることがあるので、できれば事前に確認しておくといいですね。
また桜の季節は夜がとても冷えるので、温かい服装を忘れないで下さいね。
基本的なカメラ設定
- 絞り優先またはマニュアル露出
- 絞り f8
- ISO感度 100~400(風が強い場合は1600以上)
- ホワイトバランス オート(RAW現像で調整する)
三脚を使う前提で、絞り値は風景写真の基本であるf8を中心に使います。絞り優先+露出補正で大丈夫ですが、操作に慣れていればマニュアル露出の方が露出が安定します。
夜桜の撮影では、カメラは露出を勘違いすることがあります。特に、夜の暗い背景にライトアップされた桜があるので、ノーマル設定では桜の花が白く飛んでしまうことがあります。1枚撮ったら液晶モニタで露出を確認して、こまめな露出補正で桜の花を適正露出まで追い込んでください。
ISO感度はノイズを抑えるために100~400、風が強く桜がブレるときはISO感度を上げてブレを抑えます。
複数の光源によるミックス光が多いので、ホワイトバランスは最初オートで撮ってみて、太陽光、電球、蛍光灯を試しながら、自分のイメージに合う設定を選んでください。RAWで撮っておいて、後からRAW現像で調整することをおすすめします。
中上級者に幅広く使われている、RAW現像の定番ソフトLightroomには「色かぶり補正」という機能があります。これを使うと、ホワイトバランスだけでは再現できない、桜の花の薄いピンクを強調することができます。
夜桜は複数のライトの光が入り交じるミックス光という条件で、桜の色を正しく再現することがちょっと難しいシチュエーションです。こういうときは撮影現場で無理にホワイトバランスを合わせようとせずに、自宅のRAW現像でじっくりと追い込んだほうがいいですね。
夜桜の撮影テクニック7選|受講生作品より
フォトアドバイス受講生の作品を例に、夜桜の撮影テクニックを紹介します。
1. 力のある桜を見つけて全体を撮る
有名な桜の木など、それ一つで十分に力があるラッキーな被写体に巡り会えた場合。桜の木を中途半端な画角で切らずに、全体を大きく入れて撮るとよいでしょう。どうしても画面の隅に空が入るので、空の色が残っているマジックアワーの時間帯を狙うのがおすすめです。
2. 枝ぶりのよい木を選び抜く
桜の幹や枝は色が黒いので、写真にすると目で見た以上に存在感が出てしまいます。そこで大事なことは、桜の枝ぶりに注目して、形の良い枝ぶりを選びぬくことです。
この作品のように桜の枝が手を取り合っているように見える木を探すなど、自分が面白いと思う形を楽しみながら見つけましょう。ちょうど同じポーズのカップルが通り掛かるなど、シャッターチャンスを上手く捉えると作品性がグッとよくなります。
3. 星空と桜をマッチングさせる
光害が少ない場所なら、星空をマッチングさせて撮ることができます。ただし、星空に露出を合わせると、ライトアップされた桜が白飛びするので、適度な明るさの桜を選ぶか、ハーフNDフィルターで桜の露出を抑えるなど工夫が必要です。
また構図的にも、桜を主役にするか星空を主役にするか迷いやすいので、仕上がりイメージをしっかり固めて撮りましょう。天の川のように存在感がある星空をマッチングできるといいですね。
4. 都会の街並みと合わせて撮る
最近では街中でもライトアップされた桜を見つけることができます。そうした場所ではライトアップも工夫されているので、街の夜景と上手くマッチングさせることで、和の要素と近未来感を感じさせる作品に仕上げることができます。
5. 目立つシンボルの周りに桜を配置する
ライトアップされた観光名所は、それ自体が被写体として力を持っていますが、そのまま撮るとありきたりな観光写真になってしまいます。そこで、桜を主役の周りに配置することで、この時期にしか撮れない季節感を演出することができます。
6. 水面に映った桜をシンメトリーに撮る
ライトアップされた夜桜が暗い水面に反射する様子をシンメトリーに撮ることで、幻想的な雰囲気を演出することができます。特に各地の城址は桜の名所が多くあるので、堀に映り込む桜を狙うとよいでしょう。
7. ワイヤレスストロボで夜桜を演出する
ワイヤレスストボロを使えるなら、ぜひ桜の花をバックライトで照らしてみましょう。幻想的な閃光で浮かび上がる桜の花を撮ることができます。昼間に日中シンクロで撮るのに比べて、写真のインパクトがぐっと上がります。
この作品はフォトアドバイスの講師が撮影しました。普通に撮ると黒く潰れてしまう左下の桜に、バックライトでストロボを当てて、幻想的に浮かび上がらせています。
夜桜とストロボは相性抜群!真っ暗で見えない桜を暗闇に浮かび上がらせたり、
明暗差が大きくて、そのままでは撮れない東京タワーとも一緒に撮ることができます。
まとめ
このように、夜桜撮影は寒さ対策と色の再現に気をつけさえすれば、昼間に比べて撮影のバリエーションがずっと広がります。桜撮影にマンネリや行き詰まりを感じたら、ぜひ夜桜を撮りに行きましょう。中上級者の方はぜひRAW現像とワイヤレスストロボを使いこなして、誰にも撮れない夜桜作品に挑戦してくださいね。