【ストロボ使い方】日中シンクロで屋外ポートレートを撮る基本設定 | 一眼レフの教科書| 写真教室フォトアドバイス【公式】
  1. TOP
  2. 撮影機材
  3. ストロボ
  4. 【ストロボ使い方】日中シンクロで屋外ポートレートを撮る基本の設定

【ストロボ使い方】日中シンクロで屋外ポートレートを撮る基本の設定

ストロボを買ったらぜひ挑戦してもらいたいのが日中シンクロ。一見すると難易度が高いように思えますが、ステップ通りに撮影すれば誰でもカンタンに撮れますよ。クリップオンストロボの基本撮影からオフカメラ(ワイヤレス発光)多灯ライティングまで、日中シンクロの基本をお伝えします。

定常光と閃光がわかれば日中シンクロは撮れる!

背景の定常光とストロボの閃光の違いとは?

日中シンクロを撮るために欠かせない、光と露出の関係をおさらいします。

日中シンクロは背景の「定常光」とストロボの「閃光」の2種類の光があること、そしてそれぞれを別の方法でコントロールすることを知っておきましょう。

まず背景の定常光です、こちらは普段の風景撮影と同じです。写真の明るさ(露出)を変えたい場合は、f値(絞り値)、シャッタースピード、ISO感度の3つを操作します。ここまではカンタンですね。

定常光の露出補正はf値(絞り値)、シャッタースピード、ISO感度の3つ

次に閃光です、こちらは背景の定常光と違い一瞬の光です。ストロボの閃光の発光時間はおよそ1/10000秒(1万分の1秒)程度と言われています。

つまり、ストロボが光っている時間は、カメラのシャッターが開いている時間に対して40倍も短いのです。(スタジオで使うモノブロックストロボの発光時間は1/125秒程度と長いので注意してください)

ストロボが光っている時間は、カメラのシャッターが開いている時間に対して40倍も短い

カメラのシャッタースピードは同調速度より早くできない

また、カメラとストロボを連動させてシャッターを押すと同時にストロボを光らせるとき、カメラのシャッタースピードは決まった数値より遅くしないといけない決まりがあります。その数値は機種によって違いますが、一般的には1/250秒です。このシャッタースピードを同調速度といいます。

ストロボ同調速度の解説画像

背景と人物は露出補正の方法がそれぞれ違う

背景の定常光とストロボの閃光の違いは理解できましたか?ここから少し難しくなるのでじっくり読み進めてください。

ストロボの閃光の発光時間はカメラのシャッタースピードより何十倍も短い時間です。

すると、露出の3大要素 f値(絞り値)、シャッタースピード、ISO感度のうち、シャッタースピードを変えてもストロボが当たっている人物の明るさは変わらない、ということになります。

ストロボ光はシャッタースピードを変えても露出が変わらない

ここを理解しておかないと、背景の明るさを変えたい、人物が少し暗いので明るくしたい、といったときに、何を操作すればいいのかわからなくなってしまいます。

例えば先ほどの作例で、人物はそのままで背景をもう少し明るくしたいなら、シャッタースピードを遅くするのが一番簡単です。ストロボの光が当たっている人物の明るさはストロボの閃光で決まるので、シャッタースピードを変えても変わりません。(実際には定常光が人物に少し当たっているので、若干は明るくなります)

もしf値(絞り値)を開けたりISO感度を上げて背景を明るくしようとすると、一緒に人物まで明るくなってしまうので、ストロボの発光量を下げないとバランスがとれなくなってしまいます。

逆のケースとして、背景はそのままで人物を明るくしたい場合はどうでしょうか?シャッタースピードを遅くしても人物の明るさは変わらない、f値(絞り値)とISO感度を変えると背景の明るさまで変わってしまう。ここではストロボの光量を上げるのが一番カンタンな調整方法です。

日中シンクロで背景と人物の明るさを変えたい場合

このように、日中シンクロでは(1)背景の定常光とストロボの閃光の2種類があること(2)カメラのシャッタースピードは同調速度より早くできないこと(3)シャッタースピードを変えてもストロボが当たっている人物の明るさは変化しないこと(4)明るさの調整にストロボの発光量を調整するという方法が加わること、を覚えておきましょう。

日中シンクロはマニュアル露出とマニュアル発光がおすすめ

ストロボ撮影のカメラとストロボの設定は次の2通りでした。
(1)カメラ オート(P / A / S)+ ストロボ TTL発光
(2)カメラ マニュアル露出 + ストロボ マニュアル発光

日中シンクロは(1)と(2)のどちらでも撮れますが、(2)の設定のほうが撮りやすいです。理由として、背景だけ明るくしたい、人物だけ暗くしたいなど、定常光と閃光の露出を狙ったとおりに調整しやすいからです。

日中シンクロの基本は逆光での撮影です。逆光では背景と人物の明暗差が大きいので、カメラの露出をオート(絞り優先など)にすると構図を少し変えるだけでカメラが判断する適正露出がコロコロ変わってしまいます。その都度、背景とストロボの明るさを調整しないといけないので、けっこう大変です。

日中シンクロでは(2)のマニュアル露出+マニュアル発光のほうが、背景と人物の露出をコントロールしやすいのでおすすめです。

日中シンクロはオートTTLよりマニュアル露出のほうが撮りやすい

日中シンクロ 基本ステップ1|逆光で背景をアンダーめに撮る

いよいよ日中シンクロにチャレンジしてみましょう。

まず、撮影場所を決めます。ポイントは背景となる風景を決めて、どこに人物を配置すればいい写真になるか?をイメージすることです。

背景に太陽をガツン!と入れて写真のアクセントにしたり、そのまま風景写真としても通用する美しい自然風景、都会のビルやなにげない町並みでも構いません。

初めて日中シンクロに挑戦される方は、背景がシンプルな浜辺が撮りやすいでしょう。あらかじめ地図を見ておいて、太陽の方角が海になる時間帯と場所を選ぶといいですね。

日中シンクロに向いたシチュエーション 太陽、風景、町並み、海

日中シンクロに向いたシチュエーション 太陽、風景、町並み、海

撮影場所が決まったら、人物を配置する前に背景だけでカメラの露出を決めます。このときストロボはまだ電源を入れずに、ストロボを発光させないで撮影するようにしてください。

露出モードはマニュアル露出を使うので、f値(絞り値)、シャッタースピード、ISO感度を自分で決めることになります。晴れの日中であれば、ISO感度は最低感度の100に設定します。シャッタースピードはストロボの同調速度で最も早い数値(カメラによって異なりますが、およそ1/250秒)に合わせます。

ISO感度とシャッタースピードが決まったので、あとはf値(絞り値)で写真の明るさ(露出)を決めます。f値(絞り値)を小さくすると写真が明るくなり。f値(絞り値)を大きくすると写真が暗くなります。

f値で背景の明るさが変わる写真

ポイントは普段撮影している明るさより、かなり暗め(アンダー)の露出にしておくことです。-1EVか-2EVくらいアンダーの露出なら、このあとストロボの発光を追加したときに、日中シンクロっぽく効果的に写ります。

普段、シャッタースピードを気にして撮影している方は気づくと思いますが、屋外の撮影でシャッタースピード1/250は相当遅い数値です。したがって日中の昼間では、f値(絞り値)はf8やf16などまずまず絞り込んだf値(絞り値)を使うことになるかもしれません。

露出が決まったら、構図も確認しておきましょう。どこに人物を配置するか、オフカメラストロボ(ワイヤレス発光)ならどの方向からストロボを当てるかをイメージしておくといいですね。

日中シンクロ 基本ステップ2|人物が適正露出になるようストロボを調整する

背景の構図と露出が決まったら、イメージした場所に人物を配置します。撮影の最中に人物の配置を大きく変えると、このあと設定するストロボの配置や発光量まで変えないといけないので、これでいい!と思える場所に人物を配置しましょう。

人物を配置して先ほど決めたカメラの設定で人物を入れて撮ったのがこちらです。逆光なので人物は背景以上に暗く写ります。ストロボを発光する前の露出としてこれくらいを目安にしておくといいですね。

人物を入れてストロボ無しで撮影した写真

いよいよストロボを発光させます。クリップオンストロボを使っている方はカメラに取り付けた状態でストロボの電源を入れます。オフカメラ(ワイヤレス発光)でストロボを使っている方は、ライティングの基本であるカメラと人物に対して約45度の角度からストロボを当ててみてください。ストロボの配置はあとで変えられるので、大まかで大丈夫です。

クリップオンとワイヤレスのストロボ配置

海岸など風が強い場所でオフカメラストロボ(ワイヤレス発光)を配置する場合、風でスタンドが倒れるのを防ぐために、石など重いものでスタンドの脚を固定しておくと安心です。

日中シンクロはスタンドを石などで固定する

ストロボの発光量をマニュアルで調整します。ストロボの発光量はフルパワーが1/1で、そこから1/2、1/4、1/8・・と弱くなっていきます。発光量を大きくすると発光してから次の発光までにチャージ時間がかかって撮影のテンポが悪くなったり、ストボロのバッテリーが早く消耗してしまいます。ストロボと被写体との距離を調整するなど、発光量を必要十分な値に抑えることをおすすめします。

ストロボの発光量の設定画面

クリップオンストロボはカメラに取り付けているので被写体との距離が固定されますが、オフカメラストロボ(ワイヤレス発光)なら距離を自由に変えることができます。被写体に当たる光の量は距離が半分になると4倍になります。したがって、ストロボの光が弱いと思ったら、発光量を上げるよりストロボを人物に近づけたほうが効果的です。ただしストロボを近づけすぎると、人物の一部にしかストロボの光が当たらなくなってしまうので、人物全体に光が当たる距離がちょうどいいですね。

ストロボの距離と発光量の関係

またストロボの光を正面から当てると人物が平面的に写ってしまいますが、ストロボをサイド方向から当てると人物を立体的に撮ることができます。オフカメラストロボ(ワイヤレス発光)の利点として、こうしてストロボの表現が豊かになることが挙げられますね。

こちらはストロボの発光量を調整して撮り比べた日中シンクロの写真です。こうしてストロボの発光量をイメージに近いところに合わせて撮影しましょう。

このように日中シンクロは、カメラのマニュアル露出で背景の明るさを決めてから、ストロボの配置と発光量を調整して人物の明るさを決めると楽に撮影できます。

日中シンクロ 応用編|ワイヤレス多灯でストロボの配置を工夫する

応用編としてオフカメラストロボ(ワイヤレス発光)を複数使った、ワイヤレス多灯ライティングにチャレンジしてみましょう。

複数のストロボをどのように配置するか最初は迷うかもしれませんが、まずは基本となる配置です。

こちらの作例は、正面斜め方向からメインのストロボを1灯当てています。そして人物を背後から照らすようにもう1灯を配置しています。背後から当てるストロボを追加することで、人物が光の中に浮かび上がる幻想的な雰囲気を表現することができますね。

日中シンクロのワイヤレス多灯の作例 正面+背後

オフカメラストロボ(ワイヤレス発光)は雨や雪などのシチュエーションでさらに威力を発揮します。例えばこちらの作品、雨が降っている状況で2灯のストロボを正面と背後から発光しています。雨粒がストロボの光で輝いて写っていますね。

雨の日中シンクロ

雪の日中シンクロ

注意したいのは、ストロボは強力な電気を使って発光しているので雨に濡らすのは厳禁です。雨の撮影ではビニールの袋に入れて濡れないようにするなど気をつけて使いましょう。

まとめ

一見むずかしそうに思える日中シンクロですが、カメラのマニュアル露出とストロボのマニュアル発光を使って、背景→人物の順番で露出を決めることで、カンタンに撮れる撮影です。

ストロボを買ったらぜひ日中シンクロを撮ってみましょう。そしてオフカメラストロボ(ワイヤレス発光)の多灯ライティングにもチャレンジしてみてください。

レンズ沼、三脚沼に続いて、ストロボ沼にハマることを約束します!

\ SNSでシェアしよう! /

一眼レフの教科書| 写真教室フォトアドバイス【公式】の注目記事を受け取ろう

この記事が気に入ったら
いいね!しよう

一眼レフの教科書| 写真教室フォトアドバイス【公式】の人気記事をお届けします。

  • 気に入ったらブックマーク! このエントリーをはてなブックマークに追加
  • フォローしよう!

こちらの記事も読まれています

  • 【ストロボ使い方】室内のテーブルフォトと料理撮影をプロが解説

  • こだわりスタイルを演出する!おすすめカメラストラップ

  • クリップオンストロボ・フラッシュのおすすめ機種をプロが解説します

  • クリップオンストロボ・フラッシュの使い方|初心者でも鮮やかに撮れる!基本7ステップ

  • 【ストロボ使い方】ファッション誌のような室内ポートレートを自宅で撮る方法

  • 夜桜のストロボ撮影|電波方式のオフカメラ(ワイヤレス)で撮る7ステップ