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シャッタースピード(速度)の基本とシーン別おすすめ設定

「躍動感のある写真を取りたい…」「幻想的な写真を撮りたい…」そんなときは、シャッタースピード(速度)を設定しましょう。シャッタースピード(速度)の基本から、躍動感あふれる写真、スローシャッターで幻想的な写真を撮るコツを紹介します。

Contents

シャッターは光を貯める「時間」を制限する

「ちょうどよい光の量をカメラに貯める(適正露出)」を意識することが写真上達の第一歩でしたよね。

カメラに貯める光の量をコントロールする2つの仕組みとして、カメラに入る光を制限する「絞り」と、カメラに光を貯める時間を制限する「シャッター」があります。

シャッターはこのような形をしています。倉庫のシャッターと同じように、上下に折りたたみができる構造です。

シャッターの形状

シャッターはレンズと撮像素子の間に配置されています。シャッターは普段は閉じていますが、シャッターボタンを押すと一瞬だけ目に見えないくらいの速さで開閉します。この、シャッターが一瞬だけ開閉する時間を「シャッタースピード(速度)」といいます。

シャッターが開くとレンズを通ってカメラに入った光が撮像素子に当たります。この瞬間から撮像素子は光の像を記録し始めます。あらかじめ決められた時間が経過してシャッターが閉じられると、撮像素子に光が当たらなくなるので撮影が終了します。つまり、シャッタースピード(速度)=カメラが光を貯める時間ですね。

シャッタースピード(速度)の目安として、昼間の明るい条件では「シャッタースピード(速度)」はおよそ1/1000秒(千分の一秒)。人間から見るとまさに一瞬の早わざです。どれくらい早いかというと、時速40kmで走る車が1cm しか進めないくらいの短い時間です。

一方で、夜景など暗い条件では「シャッタースピード(速度)」はおよそ10秒まで遅くなります。人間から見るとゆっくりした動作に見えます。それくらい私たちの身の回りでは明るさが全然違っているのです。

シャッタースピードで写真の動感が変わる

シャッタースピードを速くすると、動いているものが止まって写ります。スポーツ写真や野鳥の写真など、一瞬のタイミングを写真で捉える美しさを感じますね。

シャッタースピード1/1000秒の写真

逆に、シャッタースピードを遅くして、シャッターが開いている間に撮っているものが動いた場合、写真にはブレとして写ります。意図しないブレは失敗写真ですが、狙って撮れば写真に動感を与えるテクニックにもなります。

シャッタースピード1/15秒の写真

シャッタースピード(速度)の読み方を覚えよう

一眼レフで実際に使うシャッタースピード(速度)は、最も早いときで 1/8000秒(8000分の1秒)、最も遅いときで30秒です。実際にはカメラのバッテリーが切れるまでシャッタースピード(速度)を延長できますが、実用的なのはこのくらいです。

ではカメラにシャッタースピードがどのように表示されるかを見てみましょう。

1/8000~1/640 すごく早いシャッタースピード

シャッタースピード高速

画面には8000や1250といった数字が表示されます。これは○分の1と呼びます。つまり「8000分の1秒」「1250分の1秒」と呼びます。

1/500~1/160 やや早いシャッタースピード

シャッタースピードやや速い

桁が下がってきましたが、これも○分の1と呼びます。つまり「500分の1秒」と呼びます。

1/125~1/40 普通のシャッタースピード

シャッタースピード普通

テレビは60分の1秒で画面が切り替わるので、これくらいの速さですね。

1/30~1/4 遅いシャッタースピード

シャッタースピード遅い

これも○分の1秒と呼びます。「4分の1秒」つまり「0.25秒」です。「8」と表示されたときに、よく「8秒」と間違えることがあるので注意してくださいね、正しくは「8分の1秒」です。

0.3秒~8秒 すごく遅いシャッタースピード

シャッタースピードすごく遅い

ここから表示が変わります。数字の前に「秒」を表す「”」が付くようになります。「1秒」や「8秒」など数えられる速さですね。

10秒~30秒 非常に遅いシャッタースピード

スローシャッター

これも数字の前に「秒」を表す「”」が付いています。「10秒」や「30秒」などとても長いシャッタースピードです。

昔のカメラは目で見てシャッタースピード(速度)を選んでいた

昔のカメラはボディにシャッタースピード(速度)のダイヤルがありました。このカメラでは、最も速いシャッタースピード(速度)は1000分の1秒、最も遅いシャッタースピード(速度)は1秒です。直感的にもわかりやすいですね。

最新のデジタルカメラでも、あえてシャッタースピード(速度)のダイヤルを残してクラシックな外観を魅力にしている機種があります。

シャッタースピード(速度)を耳で感じてみよう

では実際にカメラを操作してシャッタースピード(速度)を体感してみましょう。最近のカメラは自動化されていますが、シャッターの動作音は私達の耳で聞くことができます。人間の感覚で理解できる数少ない仕組みと言えますね。

※ ここからカメラの操作を解説します、取扱説明書を合わせてご覧ください。また十分に明るいところで試すことをおすすめします。

手順1|モードダイヤルをシャッタースピード優先にする

まず普段使い慣れている一眼レフとレンズを用意してください。電源を入れたらシャッターを押して、普通に撮れることを確認してください。

カメラのモードダイヤルをシャッタースピード優先(SまたはTv)に合わせます。オートしか使ったことがない方は不安に思われるかもしれませんが、あとで設定を戻すことができるので安心してください。後述しますが、シャッタースピード優先とは「撮影者が好きなシャッタースピード(速度)を指定できる設定」です。

シャッタースピード優先

手順2|シャッタースピード(速度)を1/250に合わせる

ダイヤルや操作ボタンでシャッタースピード(速度)を1/250(250分の1秒)に合わせます。

シャッタースピード1/250に設定

手順3|手持ちでシャッターボタンを押してシャッター音を耳で聞く

カメラを手で持って構えた状態で、身の回りにある適当なものにピントを合わせてからシャッターボタンを押してください。「カシャ」という音がして、普通に撮れていればOKです。

シャッタースピード1/250で撮影

もし暗めの室内でシャッターを押しても「カシャ」と音がしない場合は、明るい部屋で試してみましょう。

手順4|シャッタースピード(速度)1/125, 1/60, 1/30で試す

次にシャッタースピード(速度)を1/125、1/60、1/30と順番に遅くして、シャッターの音の違いを感じてみましょう。なんとなく音が変わってきたと感じるかもしれませんし、違いがわからない方もいるかもしれません。

シャッタースピード1/60で撮影

手順5|シャッタースピード(速度)1/8,“1, “8で試す

次にシャッタースピード(速度)を1/8、”1, “8と変えてみましょう。ここまでくると音の違いをハッキリと感じられると思います。撮った写真を見ると、ぼんやりしている写真が混ざってきたと思います。これはシャッタースピードが遅いときに現れる手ブレです。

8秒まで遅くすると、シャッターを押してから何も反応がなくなるのでカメラが壊れたのでは!?と心配されるかもしれませんね。不安に思ったら、電源を一度オフにしてから、もう一度オンにするとシャッターを押す前の状態に戻すことができます。できあがった写真は何を撮ったかわからないくらいブレブレ写真になっています。

シャッタースピード8秒で撮影

昼間の屋外など十分に明るい場所で試された場合は、シャッターを押しても「カシャ」と音がしないことがあります。そのようなときは暗めの室内で試してみてください。

手順6|カメラの設定を元に戻す

これで実験が終了です、お疲れ様でした。カメラのモードダイヤルを普段使っている設定に戻してくださいね。

シャッタースピード(速度)の違いをご自身の耳で体感できました。さて、撮った写真を見返してみましょう、シャッタースピードを遅くすると写真がブレているのがわかりますか?次にブレブレ写真の原因と対策を解説します。

シャッタースピード(速度)1/125秒が失敗写真のボーダーライン

一眼レフ初心者が気が付かないうちにやってしまう失敗写真が手ブレです。さきほどシャッタースピード(速度)を変えながら撮った写真を振り返ると、あるところからブレ写真が増えていることに気づきます。これが一眼レフ初心者の典型的な失敗である、手ブレです。

手ぶれの作例

カメラの手ぶれ補正やカメラの構え方にもよりますが、写真を拡大したときにブレが気になり始めるのは、およそ1/30~1/60(30~60分の1秒)です。

手ブレ失敗写真を防ぐには特別なテクニックはありません。単純に「シャッタースピード(速度)を遅くしない」ことです。プロカメラマンでもシャッターを押す瞬間は手ブレを起こさないように最大限の注意を払っています。

三脚を使えば、もっと遅いシャッタースピード(速度)でもブレない写真を撮れますが、いつでも三脚を使えるとは限りませんよね。

手ブレ失敗写真を防ぐシャッタースピード(速度)の目安は、1/125(125分の1秒)です。

シャッターを押す前、あるいは押したときに「今のシャッタースピードはいくつか?」を思い出して、意識するだけでも失敗写真は防ぐことができます。

シャッタースピードで写真に動感を与える|受講生の作品

このようにシャッタースピード(速度)は、シャッタースピード優先でダイヤルを回すことで、いくらでも好きな値に変えることができます。

フォトアドバイス受講生の作例を参考に、シャッタースピード(速度)のおすすめ設定を紹介します。

1/500秒…すごく速い|動くもの・運動会で中心となるシャッタースピード(速度)

シャッタースピードの作例1

さきほど試したシャッタースピード(速度)1/500(500分の1秒)は動くものをほぼ停止させて撮ることができます。お子さんの運動会もこのシャッタースピードなら躍動感あふれる写真が撮れますよ。

より速いシャッタースピードとして、1/2000(2000分の1秒)~1/8000(8000分の1秒)がありますが、動きを十分に止められれば、それ以上速くするメリットはありません。逆にカメラの感度を上げて画質が落ちることがあります。

1/30秒…やや遅い|憧れの流し撮りを撮れるシャッタースピード(速度)

シャッタースピードの作例2

主役がピタリと静止して背景が流れる流し撮りは一度は撮ってみたい写真ですね。人間の眼が動きを捉えるのは1/60(60分の1秒)と言われています。つまり1/30~1/60で撮った写真は、人の目から見て自然な動感を表現できます。

流し撮りのコツは、目の前を通り過ぎる被写体の動きに合わせてカメラを動かし始め、そのままシャッターを押すことです。

流し撮りが非常に上手い人は、1/8(8分の1秒)など、非常にゆっくりしたシャッタースピード(速度)でも撮ることができますが、初心者は失敗が少ない1/30秒(30分の1秒)から試してみましょう。

1/8~1秒…結構遅い|幻想的な写真を撮れるシャッタースピード(速度)

シャッタースピードの作例3

シャッタースピードの作例4

滝の水を線で表現したり、夜の暗闇に光線が流れる幻想的な写真は、スローシャッターで撮ることができます。工夫次第で誰も見たことがないような写真を撮ることもできるかもしれません。ただし、三脚でカメラをしっかり固定することが必須です。また三脚を使っても、シャッターを押したときにわずかながらカメラが動くので、レリーズを使ったり、カメラのセルフタイマーを使うとさらによいでしょう。

”8~”30…すごく遅い|星を鮮やかに撮れるシャッタースピード(速度)

シャッタースピードの作例5

満天の星空写真は観た人を別世界に誘うような魅力があります。一眼レフならエントリー機でも星空写真をカンタンに撮ることができます。

星は私達が思った以上に暗いので、シャッタースピード(速度)をできるだけ長くして、カメラに光を目一杯貯める必要があります。ただし、地球の自転で星が動くので、あまり長くシャッターを開けていると星が動いた様子が写ります。フィルムの頃はこれを利用して、一晩中シャッターを開けて星の軌跡を描いていました。

しかしデジタルカメラでは、星が点としてハッキリ写った写真を画像編集で重ね合わせて、星の軌跡を描く方法が主流になっています。

したがって星空写真の基本は、星を点としてハッキリ写すことです。そのためには、星が中途半端に動かない”8~”30(8秒~30秒)が基本です。

シャッタースピードの作例6

まとめ

  • シャッタースピード(速度)=カメラが光を貯める時間
  • シャッタースピード優先で撮影者は好きなシャッタースピードを指定できる
  • シャッタースピードは写真に動感を与える
  • 手ブレ失敗写真を防ぐシャッタースピード(速度)は1/125(125分の1秒)
  • 三脚とスローシャッターで幻想的な写真を撮れる

ISO感度、f値(絞り値)、シャッタースピードはカメラ設定の基本中の基本です。

こちらの記事でもカメラの基本をしっかり身につけてくださいね。

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