桜吹雪の撮り方|舞い散る桜を捉えるシャッタースピードとプロの撮影テクニック
今年の桜も終盤。でも大事な被写体を忘れていませんか?やわらかな風に舞い散る桜吹雪を撮って、躍動感のある桜風景を表現する方法をお伝えします。
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桜吹雪はシャッタースピード優先モードで撮る
一眼レフの魅力は、f値(絞り値)やシャッタースピードといった撮影条件を柔軟に変えられることです。
これまで風景写真はf値(絞り値)としてf8を設定したいという理由から、絞り優先モード(A、Av)をおすすめしてきました。しかし桜吹雪の撮影ではシャッタースピード優先モード(S、Tv)を使います。
シャッタースピード優先モードを使う理由は、舞い散る桜の花びらの動きを止めて撮るために、ある程度速いシャッタースピードが必要だからです。
絞り優先モードを使って、f値(絞り値)とISO感度の調整で必要なシャッタースピードを確保することもできますが、慣れが必要なこととそれほど難しい撮影条件ではないので最初はシャッタースピード優先モードが使いやすいでしょう。
桜吹雪を捉えるシャッタースピードの目安は1/500、連写でチャンスを捉える
桜吹雪を止めて撮るのに必要なシャッタースピードは、およそ1/500秒です。もちろん、使用するレンズや桜の花びらが動くスピードにもよりますが、1/500秒で撮影すれば大抵の動く被写体を止めて撮ることができます。
f値(絞り値)の設定は、一般的な風景撮影として考えると基本のf8で大丈夫です。しかし、朝夕の撮影や曇の撮影ではf値(絞り値)f8だとシャッタースピードを1/500程度まで速くできないことがあります。その場合は、f値(絞り値)をf5.6程度まで開けるか、ISO感度を400程度まで上げるとよいでしょう。
ISO感度の設定はザラザラ感(ノイズ)を抑えるために、できるだけ低く設定することが望ましいのですが、最近のデジタル一眼レフカメラであれば、ISO感度400ならほとんどザラザラ感(ノイズ)を気にしなくてもよいでしょう。
カメラ設定の参考に、こちらの晴れた昼間に撮影された作品の撮影データは、f値(絞り値) f8 、ISO感度 100、シャッタースピード 1/400 です。
カメラのドライブモードは連写モードにして、1-2枚撮ってお終いではなく必ず何枚か撮るようにしましょう。同じ構図で撮っても花びらの動きで写真の見た目が全然変わることがあります。
ピントは花びらに無理に合わせようとしてもうまくいかないので、オートフォーカスを使って背景の風景に合わせれば大丈夫です。花びらとの距離によってピントが合わずにボケる花びらが出てきますが、かえって前ボケとして効果的に働いてくれます。
桜吹雪がハラハラと美しいのは風速 5m/s
見栄えの良い桜吹雪を撮るには、桜の花びらがある程度のボリュームで散ることと、動きのある舞い方をしていることが必要です。
桜吹雪の散る量と舞い方は風速に関係します。風が弱すぎると、ヒラリとわずかな花びらしか落ちません。逆に風が強すぎると散った花びらが吹き荒れるので撮影が難しくなります。
桜吹雪の撮影に適した風速はおよそ風速5m/s、木の葉が軽く動く程度の風速です。これくらいの風速なら、見ごたえのある量の花びらが散って、舞い方にも動きが出てきます。
撮影に出かけるときは、天気だけでなく風速もしっかりチェックしましょう。
カメラのレンズと花びらが近いと大きくボケる
桜吹雪をより印象的に見せる方法として、桜の花びらがカメラの前にやってきたタイミングでシャッターを押すと、大きくボケる効果があります。これは運の要素もあるので、できるだけ自分の周りに花びらが舞っている状態で撮る、ベストなタイミングを捉えるために連写で撮る、ことを心がけましょう。
できるだけ暗い背景を選ぶと桜吹雪が浮き上がる
桜の花びらは思ったよりも小さく、背景に溶け込んでしまうことがあります。花吹雪を印象づけるには暗い背景を選ぶとよいでしょう。
たとえばこちらの2点の作品、花吹雪の量としては上の作品のほうが見ごたえがありますが、下の作品は背景の黒い場所をうまく使うことで、花びらをより印象的に見せています。
このように、森や林の暗い部分をバックに撮ると、桜の花びらが暗闇に浮かび上がるように撮ることができます。
桜吹雪と人物を組み合わせて躍動感を表現する
桜吹雪の躍動感を伝える方法として、人物と組み合わせる方法があります。お子さんやモデルさんを主役にして、桜吹雪で笑顔になっているシーンはとても絵になりますね。
お子さんなら落ちた花びらを集めて自分たちで放り投げる演出もありですね。
ストロボと花吹雪を組み合わせる
最後にストロボを後ろから当てるテクニックがあります。夜のポートレート撮影に応用することで、モデルのバックライト効果だけでなく、花びらが夜の暗闇に浮かび上がる様子を撮影することができます。
まとめ
このように桜は満開だけでなく、散る様子も含めて面白い被写体です。桜吹雪の撮影の基本はシャッタースピードを確保すること、それさえ守れば難しい撮影ではありません。ぜひ撮影を工夫して躍動感のある桜吹雪を撮ってみてくださいね。