夜桜のストロボ撮影|電波方式のオフカメラ(ワイヤレス)で撮る7ステップ | 一眼レフの教科書| 写真教室フォトアドバイス【公式】
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夜桜のストロボ撮影|電波方式のオフカメラ(ワイヤレス)で撮る7ステップ

クリップオンストロボをカメラから離して撮るオフカメラ(ワイヤレス)ストロボ

機材を揃えてみたけれど、「使いみちがわからない…」「用途がワンパターンになっている…」と行き詰まりを感じていませんか?

オフカメラ(ワイヤレス)ストロボは室内の撮影や日中シンクロだけでなく、風景写真にも活用することで、普段は撮れない幻想的な演出効果が得られます。特に夜の撮影では効果的です。

今回は夜桜をテーマに、オフカメラ(ワイヤレス)ストロボを使って桜写真を演出する撮り方を紹介します。

夜桜はライトアップされたものを撮るケースが多いですが、オフカメラ(ワイヤレス)ストロボを使えば、自分の思い通りに自作ライトアップ環境を創ることができます。

他の誰にも撮れない、オリジナルの夜桜作品を撮れるので、ぜひチャレンジしてみてください。夜桜の表現方法が大きく広がりますよ。

使用する機材を紹介します

夜桜のストロボ撮影で使用する機材を、ストロボ、カメラ、三脚の順に紹介します。

ストロボは電波方式で揃える

ストロボをカメラから離して撮るオフカメラストロボは「有線方式」「光通信・赤外線方式」「電波方式」の3つがあります。夜桜の撮影に向いているのは電波方式です。

夜桜のストロボ撮影では、ストロボの光をうまく当てるために、ストロボをカメラから相当離した場所に置くことがあります。有線方式ではコードの長さ(数十cm)、光通信・赤外線方式方式ではメインの光が届く範囲(せいぜい数メートル)しかストロボを配置することができません。

電波方式なら数十メートル離れた場所でもストロボを発光させることができる上に、光通信・赤外線方式のようにコマンダーの発光を検知できるかどうかを気にしなくても良いので、ストロボの演出の自由度が全然違います。

夜桜撮影のオフカメラストロボは電波方式で揃える

電波方式のストロボならGodoxゴドックスがおすすめ

電波方式のストロボは各社から販売されていますが、その中でおすすめなのは中国メーカーのGodoxゴドックスです。Godoxゴドックスは電波方式の大光量ストロボ「AD200」など画期的な商品を矢継ぎ早に開発するメーカーです。

Godoxゴドックスのストロボはカメラメーカー純正のストロボに比べて価格も安価なので、プロアマ含めてストロボユーザーの間で急速に広まっています。今回はオフカメラ(ワイヤレス)ストロボの発信機(コマンダー、トランスミッター)に「XPRo」、クリップオンストロボに「V850II」を2灯使用しました。

どちらもAmazonで購入できますが、Amazonで販売されている商品はサポート対応が全くと言ってよいほど期待できません。もし使用している最中に動作しなくなったとしても、修理できずに買い直すことになるでしょう。

Amazonではなくヨドバシカメラなど量販店で購入する商品なら、Godoxゴドックスの国内代理店であるケンコー・トキナーのサポートを受けることができます。取り扱う商品ラインナップが限られることと、価格が割高になりますが、安心して商品を購入したい方は、こちらのヨドバシカメラから購入することをおすすめします。

量販店で販売しているGodoxゴドックスのクリップオンストロボ「V860II」は、今回使用した「V850II」にTTL機能を搭載した上位モデルです。

GODOX ゴドックス X Pro N TTL対応フラッシュトリガー
・ ニコン用 … ヨドバシカメラの商品サイトへ
・ キヤノン用 … ヨドバシカメラの商品サイトへ
・ ソニー用 … ヨドバシカメラの商品サイトへ
・ フジフイルム用 … ヨドバシカメラの商品サイトへ

GODOX ゴドックス V860-2
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今回はライトスタンドを使わずにクリップオンストロボを地面に直接置いて撮影しています。もし荷物に余裕があれば、ライトスタンドを持参するとストロボ配置の自由度が増えるので便利です。

電波方式のオフカメラ(ワイヤレス)ストロボは発信機とストロボをリンクさせて使うので、最初に設定が必要です。夜桜の撮影では暗いシチュエーションが多いので、明るいときのように手元の操作ができないことがあります。事前に明るい場所で発信機とストロボの設定を確認してから撮影に望みましょう。

事前に設定を確認しよう

カメラとレンズは通常の夜桜撮影と同じでOK

カメラは電波方式のオフカメラ(ワイヤレス)ストロボを使えるカメラなら大丈夫です。今回はフルサイズ一眼レフを使用していますが、エントリーモデルの一眼レフやミラーレスカメラでも十分撮影できます。

レンズは35mmの単焦点レンズを使用しました。夜桜のストロボ撮影では背景を含めて画面を構成するケースが多いので、標準ズームレンズなど広角側までカバーできるレンズがあると便利です。三脚を使うので開放F値が暗いレンズ(F5.6など)でも大丈夫です。

ストロボの発信機を取り付けられればカメラとレンズは通常の夜景撮影と同じでOK

夜桜撮影で忘れちゃいけない重要アイテム三脚

夜桜の撮影で大事な機材が三脚です。「ストロボを使うなら手持ち撮影でも大丈夫では?」と思うかもしれませんが、夜桜撮影ではシャッタースピードを遅くしてストロボを発光する「スローシンクロ」で撮影します。シャッタースピードが秒単位で遅くなることがあるので、手ブレを防いで美しい夜桜写真を撮るために三脚は必須です。

三脚はカメラとレンズをしっかり固定できるものを使いましょう。三脚の選び方とおすすめはこちらの記事を参考にしてください。

夜桜をオフカメラストロボで演出して撮る7ステップ

機材の準備が整ったらいよいよ撮影開始です。夜桜の時期はかなり冷え込むことがあるので、防寒対策はしっかり行ってくださいね。

Step1|撮影位置を決める

夜桜のストロボ撮影は基本的にどんな場所でも可能です。ストロボの光で車や通行人を驚かせるといけないので、できる限り人通りのまばらな場所をおすすめします。また、ストロボで桜を明るく光らせることで、他の撮影者の邪魔になることがあるので、他に同じ桜を撮っている人がいないか確認しておきましょう。

夜桜のストロボ撮影に向いた場所

Step2|ストロボを使わずに構図を決める

撮影場所が決まったらカメラを三脚に取り付けて、ストロボを使わないで夜桜を撮影して露出と構図を決めます。桜が暗いままなので、ストロボで桜が浮かび上がった状態をイメージしながら構図を決めましょう。

カメラ設定はマニュアル露出がおすすめです。f値(絞り値)はf8、ISO感度は100、シャッタースピードを調整して、ストロボを発光させない状態で背景がちょうどよい明るさになるよう露出を決めます。あとでホワイトバランスを調整するので、RAWデータを保存しておきます。

カメラ設定はマニュアルで、f8、ISO100、シャッタースピードで露出を決める

今回は画面右側の桜をストロボで演出しつつ、都会の夜景を背景に配置して、左側の照明をアクセントに構図を決めました。左側の照明の影響で右側の桜が少し明るく見えています。また道路を入れないことで、通行人が画面に写り込むことを避けています。

ストロボ発光しない写真

夜桜のストロボ撮影では桜の花だけを狙って撮ると、ただ光らせて撮っただけの単調な写真になってしまいます。その桜がどういったシチュエーションにあるのか?を写真から感じられるように、アクセントになるものを配置して画面を構成するといいですね。

夜桜のストロボ撮影では背景の夜景を明るく撮るために、カメラの露出モードをマニュアル露出にしてスローシンクロ撮影を行います。またストロボの光量をカメラ任せではなく自分で調整できるように、TTLではなくマニュアル発光に設定します。

夜桜のストロボ撮影はマニュアル露出とマニュアル発光で

Step3|オフカメラ(ワイヤレス)ストロボを準備する

構図と露出を決めてからオフカメラ(ワイヤレス)ストロボを準備します。Godoxゴドックスの「XPro」と「V850II」の接続を確認して、発信機の発光ボタンを押してストロボが光るかどうかを確認しましょう。

最初はストロボの位置を確認するので、発光量は1/2など適当な設定で大丈夫です。照射角は広い範囲を照らすことになるので24mmなど広角側に設定しておきましょう。

Step4|ストロボ1灯を桜の木の下に置く

設定が完了したストロボを桜の木の下に置きます。まず画面の中で大きな面積を占めている桜の木の下にストロボを置きました。このとき、ストロボの光が桜の後方から当たるように配置するのがポイントです。桜の花のように光が透ける素材では、透過光で光を当てると美しく演出することができます。

一台目のストロボを配置した写真

この状態で撮影したのがこちらの写真です。桜の中央部はストロボの発光で明るくなりました。しかし桜の上部まで光が届いていないので暗いままです。「V850II」はガイドナンバー60(照射角200mm時/メーカー値)と発光量がかなり大きいストロボですが、大きな桜の木全体に光を当てるのは難しかったですね。

ストロボ1灯で撮った写真

Step5|ストロボ2灯で桜の木を全体的に照らす

そこでストロボをもう1灯追加します。桜の木を全体的に照らすために、桜から少し離れた場所に置くことにします。画面の左にちょうどよいベンチがあるので、ここに2灯目のストロボを置いて桜の木全体を照らしてみます。

2台目のストロボを配置した写真

この状態で撮影したのがこちらです。1灯だけの写真に比べて桜の木全体が明るく演出されていることがわかりますね。

ストロボ2灯で撮った写真

よく見ると一部分が暗いままになっていますが、これは他の桜に比べてカメラに近い場所にある枝です。もう1灯追加してこの枝も明るくすることもできますが、アーチ状によいアクセントになっているので、このままでもよいと判断しました。

Step6|ストロボの光量を調整する

構図とストロボの配置が決まったので、ストロボの光量を調整してちょうどよい明るさまで追い込みます。ストロボの発光量を、1/1(フル発光)、1/2、1/4と変えて撮り比べたものがこちらです。1/1(フル発光)が桜を一番明るく演出できていますが、背景の明るさとのバランスや雰囲気を考えて、1/2が自然な演出と判断しました。

発光量を変えて撮り比べた写真

今回は2灯のストロボの発光量を同じ発光量に揃えて撮影しましたが、シチュエーションによっては1灯目と2灯目の発光量を変えて撮ったほうがよいケースもあります。夜桜を明るく撮っただけで満足するのではなく、発光量を変えて撮り比べて、ストロボの演出効果が最もよい条件を見つけてくださいね。

Step7|RAW現像でホワイトバランスを調整する

最後にパソコンでRAWデータを開いて、RAW現像でホワイトバランスを調整します。ホワイトバランスを曇り、蛍光灯、電球色に変えて比較しました。太陽光が自然でよいと思いますが、撮影者の撮りたいイメージに合わせてホワイトバランスを選択しましょう。

ホワイトバランスを変えた例

夜桜をオフカメラ(ワイヤレス)ストロボで撮る応用例

今回は都会の夜桜をストロボで撮影しました。夜桜のストロボ撮影は、桜の花だけを撮ると単調になってしまいますが、このようにアクセントになるものを一緒に撮ると画面を構成しやすくなります。あるいは真っ暗な中に桜の花がポッと光る構図も面白いですね。

夜桜のストロボ撮影 応用例

夜桜のストロボ撮影 応用例

夜桜のストロボ撮影はいろんなシチュエーションに応用できます。桜と人物を組み合わせて、夜桜ポートレートも面白いテーマですよ。

夜桜のストロボ撮影で夜桜ポートレート

まとめ|オフカメラ(ワイヤレス)ストロボで夜桜を撮ってみよう!

夜桜のストロボ撮影のポイントをまとめます。

夜桜のストロボ撮影 ポイントまとめ
(1)電波方式のストロボと三脚を準備
(2)桜と何かを組み合わせられる場所を選ぶ
(3)ストロボを発光する前に構図を決めて、マニュアル露出で露出を固定
(4)ストロボの配置を工夫して狙ったイメージを演出する
(5)ストロボの発光量を微調整、撮影後にホワイトバランスを微調整

このポイントを押さえれば、はじめて夜桜のストロボ撮影に挑戦する方でもカンタンに撮ることができます。自作ライトアップで他の誰にも撮れない夜桜の写真をぜひ創ってくださいね。

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