桜の撮り方(応用編)|ワンランク上の桜写真を目指す!桜撮影テクニック9選
桜は人気のある被写体ですが、見た目と写真のギャップが大きい難易度の高い被写体でもあります。
この桜の撮り方応用編では、観た人がアッと驚くようなワンランク上の撮り方を紹介します。
応用編で紹介する内容はいわゆる表現のテクニックが多くなります。忘れちゃいけないのは、テクニックに走るのではなく、どこが面白いと思ったか?を強調するためにテクニックを使うという心構えです。
撮影テクニックを使うことばかり気を取られて、テクニックに溺れないように気をつけてくださいね。
桜撮影の準備と基本をおさらいしたい方はこちらの記事をご覧ください。
Contents
応用編1 … 桜フィルターでふんわりした雰囲気を作る
まずは桜フィルターです。桜フィルターとは桜の花の前ボケを画面いっぱいに入れて、桜のピンクを画面全体に拡げる撮り方です。まるでピンク色のフィルターを付けて撮影したように、不思議な雰囲気の桜写真を撮ることができます。
望遠レンズを使って、離れた桜の花にピントを合わせ、レンズの目の前に他の桜の花を配置してみましょう。f値(絞り値)は開放でボケをできる限り大きくしましょう。ボケが強すぎたり、弱すぎる場合は、レンズとレンズ先端の桜の距離を変えてみるとボケ具合をコントロールすることができます。
すると、このように画面全体が桜のピンクで覆われた作品が仕上がります。
レンズの目の前に配置する桜の置き方で、グラデーションがついたり表情が様々に変化します。
あまり桜フィルターの効果が強すぎると、何を撮ったのかわかりにくくなるので、白い花などわかりやすい花を主題にピントを合わせるとよいでしょう。
応用編2 … 桜の水面の映り込み(リフレクション)を撮る
桜の撮影スポットに池やお城の堀があったら、絶好のチャンスです。ぜひ水面の映り込み、いわゆるリフレクションにチャレンジしてみましょう。
桜の映り込み(リフレクション)には2つの撮影方法があります。1つは実際の桜と、水面の映り込み(リフレクション)を1枚の中に収める撮り方です。
この場合、実際の桜と映り込み(リフレクション)の桜のバランスが大切です。定番は画面中央に水面の端を配置して、上下に実際の桜と映り込み(リフレクション)の桜を配置するパターンです。
桜の映り込み(リフレクション)に適した光の条件として、晴れた日の順光の光や朝夕のサイド光などを利用しましょう。実際の桜がハッキリ映えるので、映りこんだリフレクションの桜を目立たせることができます。
画面中央で2分割するだけでなく、上下の比率を変えることで写真の印象を大きく変えることができます。面積を大きくした方がメインの被写体と観られるので、撮影するときにはバランスに気をつけて撮りましょう。
この実際の桜と映り込み(リフレクション)の桜を撮るパターンは、見た目の豪華さが増すので、桜の本数が多く満開の時期に効果的な表現方法です。
2つめの撮影方法は、水面の映り込み(リフレクション)だけを狙う方法です。この表現方法の特徴は、水面のゆらぎの効果で絵画のような描写が得られることです。
また水面に浮かんだ桜の花びらや、水中の造形を画面の中に入れて、不思議な世界を表現することもできます。
桜の映り込み(リフレクション)は風のない水面が穏やかな条件で撮るようにしてくださいね。
応用編3 … 落ちた花びらで桜を表現する
満開の時期が短いソメイヨシノは、花が散った後にも撮影のチャンスがあります。足元をよく見て落ちた花びらを上手く使って、春の桜を表現してみましょう。
有名なのは、桜の花筏(はないかだ)ですね。大量の桜の花びらが水面に浮かんでいる様子は圧巻です。望遠レンズを使って桜の造形の美しいところを上手く切り取ってみましょう。中途半端にボカすと印象が弱くなるので、f値(絞り値)をf8からf11程度に絞って、しっかりピントを合わせることをおすすめします。
花筏(はないかだ)が観られる場所は、意外とゴミが浮かんでいます。ペットボトルやビニール袋など、少しでも写っていると見栄えがとても悪くなるので、撮影するときに画面から追い出すか、レタッチで除去するようにしましょう。
望遠レンズで造形のキレイな所だけを切り取るのも方法です。
桜の花筏(はないかだ)以外でも、落ちている花びらをぜひ狙ってみて下さい。標準レンズやマクロレンズの画角で造形的に面白いと感じたところをどんどん切り取ってみましょう。カメラの適正露出で撮ると平凡になりがちですので、露出補正をマイナス補正してローキーな印象でシックに仕上げると面白いでしょう。
応用編4 … 長秒露光で桜のグルグル模様を撮る
水面に浮かんだ桜の花が少なくて、花筏(はないかだ)ほど見ごたえがない場合、あるいは水面の桜の花びらが規則正しい動きをしている場合は、長秒露光にチャレンジしてみましょう。桜がゆっくりと流れる様子を観察して、同じ場所をグルグル回っているようなら撮影チャンスです。
カメラを三脚にしっかり固定して、シャッタースピード優先オートに設定して、シャッタースピード(速度)を10秒から30秒くらいに設定します。
シャッタースピード(速度)の適正値はシチュエーションによってことなります。シャッタースピード(速度)が早すぎると桜の花びらの動きが流れずにバラバラに写り、遅すぎると桜の線が消えてしまいます。シャッタースピード(速度)をいろいろ変えながら、ちょうどよいシャッタースピード(速度)を見つけて下さい。
画面構成のコツとして、桜のグルグルだけでなく建物や他の木々など動かない静物を同じ画面に配置しましょう。桜のグルグルの動きがより強調された写真に仕上がります。
応用編5 … 桜を絡めてポートレートを撮る
ご家族、ご友人やモデルポートレートを撮影されている方は、ぜひ桜を絡めたポートレートを撮ってみましょう。桜ポートレートは見ごたえのある桜を背景として選び、バランス良くモデルを配置するのがコツです。
「撮影する相手がいない!」方は、通りがかりの人物で構いませんので、積極的に人を絡めてみましょう。カメラを意識されないように、望遠レンズで少し離れた場所から撮ってみてもいいですね。ただしウェブにアップする際はくれぐれも肖像権に気をつけて下さい。
「お子さんの写真をウェブにアップするのはちょっとためらう…」という方は、手や体の一部だけで桜と絡めて撮ってみるのもおすすめです。
桜ポートレートは下記の記事で詳しく解説しています。こちらもぜひご覧ください。
応用編6 … 桜のある風景で春を表現する
ここまで、桜の花や木を主役に表現する方法を紹介しました。次は桜の花を主役ではなく脇役として使って、春を表現してみましょう。
例えば、春といえば菜の花が思い浮かびますね。菜の花と桜を組み合わせて、桜を控えめに脇役として配置すると、穏やかな春の一日を表現することができます。
森の自然風景と桜を組み合わせると、普段見慣れている街中の桜と違った桜の魅力を感じさせることができます。
夕日と主役にして、桜の花をシルエットで表現してもいいですね。この場合、桜の花や幹が完全に黒つぶれするので、できるだけ美しい枝ぶりの桜を選ぶのがポイントです。
街中の風景や通行人を入れて、街角スナップとして桜を表現する方法もありますね。
なにげない日常に桜を絡めて撮ることで、穏やかな春の一日を表現することができます。
応用編7 … 桜の枠で建物やランドマークを囲いこむ
桜の花はお城やお寺など日本的な建物と相性がよい被写体です。ただ気をつけないと、桜と建物を画面に入れると、空がぽっかり空いてしまったり無駄な空間ができることがあります。
空に表情の良い雲があればよいのですが、このお写真のように青空が広がっている場合は、できる限り青空の面積を抑えたほうがバランスが良くなります。
定番の方法は桜で枠を作って建物を囲い込む方法です。黒い枝が目立たない桜のトンネルを見つけたら、建物がそこから覗き込めるか試してみましょう。
空がぽっかり空いてしまいそうなときは、月をポイントに配置するのも方法ですね。
望遠レンズの圧縮効果で建物の主要な部分だけを切り取って、桜の花を組み合わせる方法もあります。
応用編8 … 舞い散る花吹雪を高速シャッターで撮る
満開の時期を過ぎて、そこそこ風のある日は桜の花吹雪を狙ってみましょう。カメラ設定をシャッタースピード優先オートにして、シャッタースピードを1/500程度の高速シャッターに設定します。あとは連写で花吹雪がバランス良く画面に配置されるシャッターチャンスを狙いましょう。
応用編9 … ライトアップされた夜桜を撮る
桜撮影は昼だけではなく、夜桜も見頃です。夜桜は昼間の撮影と違って光の条件が安定しています。ホワイトバランスに気をつけて夜景と同じ要領で撮影すれば、比較的簡単に美しいライトアップされた夜桜を撮ることができますよ。