おすすめ標準・単焦点レンズ|初心者向けに5万円以下で買える1本を紹介します
「単焦点レンズ」「標準レンズ」というキーワードが気になっている方へ。はじめての交換レンズにオススメなのが「標準・単焦点レンズ」です。
標準・単焦点レンズは写真の練習にとても有効なレンズです。また、いままで撮れなかった作品を撮れるようになるので、写真がもっと楽しくなります。
この記事では標準・単焦点レンズを愛してやまないプロフォトグラファーが、標準・単焦点レンズの解説と、カメラメーカー別におすすめの標準・単焦点レンズを紹介します。
カメラにピッタリの標準・単焦点レンズを手にして、写真ライフをもっと楽しんでもらえることを願っています。
Contents
標準・単焦点レンズとはどんなレンズ?
焦点距離が標準域+ズームできないレンズ
「標準」とか「単焦点」とかカメラ用語が出てきたので、レンズの呼び方を整理しましょう。
レンズの呼び方は「焦点距離」と「ズームの有無」で決まります。「焦点距離」は広い範囲を写せる側から「広角 / 標準 / 望遠」、「ズームの有無」は焦点距離を変えられるレンズを「ズームレンズ」、変えられないレンズを「単焦点レンズ」と呼びます。
「焦点距離」と「ズームの有無」の2つを組み合わせることで、「広角ズームレンズ」とか「望遠・単焦点レンズ」といった呼び方が決まります。
ここで紹介する「標準・単焦点レンズ」は焦点距離が「標準」でズームができないレンズです。また「標準・単焦点レンズ」を「標準レンズ」と簡略化して呼ぶこともあります。
同じような呼び方で、カメラを買ったときについてくる「標準ズームレンズ」があります。これは「標準域をカバーできるズームレンズ」です。間違えやすいので注意しましょう。
標準・単焦点レンズを見分ける方法
焦点距離「フルサイズ 約50mm / APS-C 約30mm」を選ぶ
標準・単焦点レンズの見分け方は焦点距離です。標準・単焦点レンズは焦点距離が「フルサイズ換算 40-60mm」のレンズのことを指します。例えば、手持ちのレンズが60mmのマクロレンズなら標準・単焦点レンズとして使えます。
その中でも、焦点距離 50mmはザ・標準・単焦点レンズと言われるほどスタンダードなレンズです。ラインナップが多くリーズナブルなレンズもたくさんあるので、フルサイズのカメラを持っている方は焦点距離が「50mm」のレンズを選ぶのがおすすめです。
APS-Cのカメラをお持ちの方は、約 26-40mm が標準・単焦点レンズの焦点距離です。フルサイズのカメラに比べてカメラの撮像素子のサイズが一回り小さいので、実質的な焦点距離が約1.5-1.6倍されることを覚えておきましょう。もしAPS-Cのカメラに焦点距離50mmのレンズを取り付けると、実質の焦点距離が75-80mmの中望遠レンズになってしまいます。
同様に、マイクロフォーサーズの方は 約25mm が標準・単焦点レンズの焦点距離です。
ズームできない「単焦点レンズ」を選ぶ
標準・単焦点レンズの単焦点とは、ズームができないレンズです。
単焦点レンズとズームレンズを見分ける方法は、レンズの焦点距離を見ることです。
レンズの焦点距離が「50mm」のように1つの数字だと単焦点レンズ、「24-70mm」のように焦点距離の範囲が書かれていればズームレンズです。
ズームレンズと単焦点レンズの違いについて詳しく知りたい方はこちらの記事をご覧ください。
標準・単焦点レンズの特徴
標準・単焦点レンズとは人の視野に近いレンズ
標準・単焦点レンズの特徴は「人の視野に近い」描写です。つまり人が目の前の風景を見たときに感じる遠近感(近いものと遠いものの距離感)と同じように写るレンズです。
レンズの焦点距離が変わると、写る写真の遠近感が変わります。広角レンズは遠近感が誇張されて近いものはより近く、遠いものはより遠く写ります。一方で望遠レンズは近いものと遠いものが同じ距離感で写ります。
【人物の大きさが同じで背景の入り方が変わる写真】
この遠近感を意図的に変えられることが、レンズを使いこなす第一歩です。そのために、人の視野に近い標準・単焦点レンズで「遠近感の基準」を身につけるのが効果的です。
標準・単焦点レンズは写真の練習に最適なレンズ
「思ったような写真を撮れない…」と悩む方にぜひ試してもらいたいのが、標準・単焦点レンズ1本で写真を撮る練習です。
便利なズームレンズではなく、制限のある標準・単焦点レンズで何ヶ月か撮り続けることで、写真撮影に欠かせない「写真を撮る技術」をしっかり身につけられます。
立ち位置を変えずにズームレンズをビヨーンビヨーンと動かして撮影している方は、標準・単焦点レンズを使うとズームができないストレスを相当感じます。
それでも我慢して標準・単焦点レンズを使い続けると、そのうちにシャッターを押す前に撮れる写真のイメージを頭の中で作れるようになります。すると、いままでストレスを感じていた標準・単焦点レンズが撮りやすく感じられて、標準・単焦点レンズで撮りたい!気持ちに変わってきます。
その状態でズームレンズに戻すと、いままで感じなかったレンズの効果(遠近感の変化)を実感できます。撮りたいイメージから逆算して焦点距離を選べるようになります。写真撮影の技術が飛躍的にレベルアップするので、ぜひ標準・単焦点レンズトレーニングを試してみてください。
標準・単焦点レンズで撮りたい被写体
標準・単焦点レンズは何でも撮れる万能レンズではありません。広角レンズのように広い範囲を撮れるわけではなく、望遠レンズのように遠くの被写体を大きく撮ることもできません。
決まった範囲を切り取る撮り方がメインになるので、ある意味「被写体を選ぶレンズ」とも言えます。
標準・単焦点レンズで写真を楽しむために、標準・単焦点レンズで撮りたい被写体を紹介します。
街角スナップ
カメラを持って撮り歩く街角スナップは標準・単焦点レンズに向いた被写体です。軽量コンパクトな標準・単焦点レンズは持ち歩くのが楽なので、気軽なお散歩フォトを楽しめます。街を歩いてふと気になる被写体があれば、観たままの風景を街の記憶として自然な描写で記録できます。
テーブルフォト
テーブルフォトも標準・単焦点レンズに向いた被写体です。広角レンズでテーブルフォトを撮るとパースの影響で形が不自然に歪むことがあります。標準・単焦点レンズは人の視野に近いので、主題と副題を自然なマッチングで表現できます。また標準・単焦点レンズは開放F値が明るいので、f値(絞り値)を開けて背景をふんわりぼかしたテーブルフォトを撮れます。テーブルフォトは配置を少し変えるだけで結果が変わるので、構図の練習に最適です。
ポートレート
ポートレートは中望遠レンズと言われますが、標準・単焦点レンズもポートレートを撮りやすいレンズです。カメラと被写体が会話しやすい距離に配置されるので、コミュニケーションを取りながら自然な表情を撮影できます。中望遠レンズと比べて少し広い範囲の背景を画面に入れられるので、背景と人物のマッチングを楽しみながら撮影できます。
ホタル・蛍
ホタルは非常に暗いシチュエーションで撮影するので、開放F値が明るい標準・単焦点レンズが向いています。レンズの近くをホタルが飛ぶことで、大きなボケの光跡が画面を横切る写真を撮れます。広角レンズでホタルを撮るとホタルの光跡が小さく写るので華やかさに欠けることがあります。ホタルはどこを飛ぶか予測できないので望遠レンズを使うと画面の中にホタルの光跡が入らないことがあります。標準・単焦点レンズの画角ならある程度広い範囲をカバーできて、光跡もほどよい大きさで撮影できます。
風景写真はちょっと難易度が高い
標準・単焦点レンズは風景撮影にはちょっと不向きです。例えば海岸の朝日を撮ろうとしたときに、眼の前の風景を決まった画角で切り取る方法しかありません。風景写真はf値(絞り値を)f8程度に絞って撮ることが多いので、標準・単焦点レンズの明るい開放F値を活かす機会もありません。風景写真は広角レンズや焦点距離を変えられるズームレンズが使いやすいですね。
5万円以下で買える!おすすめ標準・単焦点レンズを紹介します
これから標準・単焦点レンズを買いたい方向けに、カメラメーカー別におすすめ標準・単焦点レンズを紹介します。
標準・単焦点レンズには何十万円もする高性能なものもありますが、ここでは初心者向けに「5万円以下で買える、標準・単焦点レンズ」を基準に設定しています。
ここ数年で発売されたフルサイズミラーレスレンズなど、レンズラインナップが充実していないカメラについては、5万円以上のレンズも紹介しています。
おすすめ標準・単焦点レンズ Nikon ニコン
Nikon ニコン 【フルサイズ】 一眼レフ/ミラーレス
単焦点レンズの王道、50mmの単焦点標準レンズです。ズームレンズでは実現が難しい開放F値 F1.8で驚くような滑らかにボケる写真を撮ることができます。2万円台で購入できるレンズとは思えない画質の良さを実感できるでしょう。ニコンのフルサイズカメラをお持ちの方に、ぜひおすすめしたい単焦点レンズです。
フルサイズミラーレスのNikon Zシリーズを使っている方は、アダプターを介せばこのレンズを使うことができます。
Nikon ニコン 【APS-C】 一眼レフ
ニコンAPS-C専用の35mm単焦点レンズです。開放F値 F1.8の明るいレンズで、軽量コンパクトなので撮り歩きに最適です。ニコンのAPS-Cカメラを持っているなら、必ず揃えておきたい1本ですね。
おすすめ標準・単焦点レンズ Canon キヤノン
Canon キヤノン 【フルサイズ】 一眼レフ/ミラーレス
EF 50mm F1.8は前モデルが優れた描写力にもかかわらず1万円以下で購入できたことから「撒き餌レンズ」として有名でした。後継機になって1万円を超える価格になりましたが、ステッピングモーター(STM)採用でオートフォーカス駆動が静かになり、最短撮影距離も短くなっているので使い勝手は向上しています。性能を考えると十分にお得なレンズです。
フルサイズミラーレスのEOS Rシリーズを使っている方は、アダプターを介せばこのレンズを使うことができます。
Canon キヤノン 【APS-C】 一眼レフ
キヤノンのAPS-C専用レンズはEF-Sと表記されています。
APS-Cカメラの標準単焦点レンズとしてリーズナブルなレンズを紹介したいのですが、ニコンのAPS-Cカメラのように2万円台で変える標準レンズがありません。
ここで紹介しているEF28mm F2.8 IS USM、EF35mm F2 IS USMはフルサイズ対応のレンズですが、APS-Cカメラに装着するとそれぞれ45mm、56mm相当の標準レンズとして使用できます。
5万円台と少しお値段が上がりますが、IS(手ぶれ補正)が備わっているので、暗いシチュエーションでも手ブレずに撮影できるので便利です。
少しでもボケを美しく撮りたいかたは、焦点距離が35mmで開放F値がF2と明るいこちらのレンズがおすすめです。
Canon キヤノン 【APS-C】 ミラーレス
キヤノンのAPS-Cミラーレスカメラにおすすめなのは、EF-M32mm F1.4 STMです。他メーカーの標準レンズと比べると高価ですが、F1.8に比べてさらに明るいF1.4の開放F値は魅力的です。APS-Cミラーレスカメラに装着すると51mm相当のジャストな標準レンズになります。
おすすめ標準・単焦点レンズ Sony ソニー
Sony ソニー 【フルサイズ】 ミラーレス
ソニーのフルサイズミラーレスカメラにおすすめしたいのは、FE 50mm F1.8です。ニコンの50mm単焦点レンズと同様に、標準レンズの50mmと明るいF1.8の開放F値、さらに2万円台で購入できるお手頃さはとても魅力的です。
Sony ソニー 【APS-C】 ミラーレス
ソニーのAPS-Cミラーレスカメラには35mm F1.8の単焦点レンズがあります。フルサイズ換算で約52mmとジャストな標準域の画角が得られます。画質も非常に良好で、フルサイズカメラに負けない描写が得られます。
おすすめ標準・単焦点レンズ マイクロフォーサーズ
マイクロフォーサーズはオリンパスとパナソニックのレンズを相互に使うことができます。フルサイズ換算の焦点距離では数値が倍になることに注意してレンズを選びましょう。
王道の単焦点標準レンズは25mm F1.8です。標準レンズが25mmの焦点距離になるので、フルサイズやAPS-Cに比べてボケの大きさとしてはやや劣りますが、それでもF1.8の明るさはズームレンズにはない魅力です。
おすすめ標準・単焦点レンズ Pentas ペンタックス
Pentax ペンタックス 【フルサイズ】 一眼レフ
ペンタックスリコーのフルサイズ一眼レフに対応する単焦点レンズは設計が古いレンズが大半です。たとえば50mm標準レンズとしてFA50mmF1.4がありますが販売時期がかなり古く、最新のデジタル一眼レフの高画素がもったいないと感じてしまいます。
メーカーでは順次リニューアルを進めているので、希望の焦点距離が最新のレンズとして販売されるまで楽しみに待ちましょう。
どうしても標準・単焦点レンズを使いたい方は、サードパーティー製ですがSigma シグマの50mm F1.4 標準単焦点レンズが使えます。
Pentax ペンタックス 【APS-C】 一眼レフ
レンズ名にDAと表記されているのがAPS-C専用レンズです。なかでもDA35mmF2.4ALはAPS-C一眼レフに装着すると52mm相当の焦点距離になります。F2.4と少し暗いのが惜しいところですが、2万円を切る価格で購入できるのが嬉しいですね。
まとめ|標準・単焦点レンズで写真がもっと上手くなる!楽しくなる!
この記事では5万円以下で買える初心者におすすめの標準・単焦点レンズを紹介しました。
いままでズームレンズしか使ったことがない方が標準・単焦点レンズを使うと、まずレンズの明るさとボケの大きさに驚くでしょう。一眼レフってこんなに豊かな写真表現ができるんだ!と気づくと思います。
標準・単焦点レンズが好きになったら、それ1本でいろいろ撮り歩いてみましょう。ズームできない不便さがありますが、自分の身体で構図を決めることに慣れると、写真の腕がワンランクアップしますよ。