構図で写真が見違える!カメラ初心者が本当に使える6つの基本構図
写真が上手くなりたい!と思っている方の大きな悩みが構図。「センスがないから、どう切り取ればいいかわからない…」と悩んでいませんか?
構図にセンスは必要ありません。構図のポイントをおさえて基本構図をマネするところからスタートすれば、誰でもうまくなります。
そして自然と構図を決められるようになると、安定して作品をつくれる上に、写真を撮ることがとても楽しくなります。
Contents
構図はあなたの意図を伝えるためにある
そもそも、構図ってなんでしょう?
いい写真とは「なにを撮ったか?が、わかる写真」つまり「意図がはっきり伝わる写真」です。
せっかく素晴らしい風景に出会って、感動してシャッターを押しても、構図がちゃんとできていないと写真を観た人に感動を伝えることはできません。
逆に、構図をしっかり決められれば、写真を観た人に「あなたが伝えたい感動」を確実に伝えられます。
たとえば、こちらの2枚の写真。どちらも夕焼けを撮影していますが、風景として感動するのはどちらでしょうか?
おそらく、左の写真のほうがグッと来ると思います。右の写真は同じような夕日の写真ですが、なぜか落ち着かないとか散漫に感じると思います。
この2枚の差は構図の差です。左はこの記事でお伝えする構図のヒントを学んで撮影した写真。右はそうでない写真です。
このように、同じような風景を撮影しても、構図が違うだけでまったく異なる印象に仕上がります。
名画には構図のヒントが詰まっている
構図は絵画の分野で発展しました。キャンパスに描いたものをより美しく効果的に見せる方法として確立されました。
たとえばこちらの絵。有名な葛飾北斎の「富岳三十六景 神奈川沖浪裏」ですが、よく見ると記事の後半で解説する写真の基本構図が当てはまります。
このように、優れた絵画には構図の技法がたくさん使われています。
写真が登場したころ、写真は絵画の参考材料を集める手段として使われていました。つまり、写真は絵画から生まれたとも言えます。
美術館などで絵画を鑑賞するときには、どんな構図が使われているか?を意識して観てみましょう。
あなたの写真に活かせるヒントがたくさん詰まっていますよ。
写真のレベルとは構図力である
フイルムからデジタルへ、また一眼レフからミラーレスへ、カメラの性能はどんどん進歩しています。
昔のカメラはちゃんとピントを合わせることすら難しかったのですが、今はカメラが人物を認識して勝手にピントを合わせてくれます。
逆光で人物を撮る場合でも、人物が暗くならないように写真の明るさ(露出)を調整してくれます。
最新のカメラを使えば、はじめてカメラを使う人でもシャッターを押すだけで失敗なく写真を撮れてしまいます。
そんな「誰でもフォトグラファーになれる時代」、最後に残った大事な技術が構図です。写真の技術レベルとは、構図力そのものです。
被写体をどのアングルから狙うのか?どうやって切り取るか?は、あなたが決めるしかありません。
おなじ被写体を撮っても、構図が違うだけで伝わる雰囲気は全く異なります。たとえばこちら、同じ被写体を別の人が撮りました。構図が違うだけでまったく異なる雰囲気になりますね。
「写真が上手くなりたい!」と思ったら、まず構図の勉強をはじめることをおすすめします。
バランスを意識することが構図上達の第一歩
よい構図とそうでない構図の違いはなんでしょうか?それは
「バランスがとれているかどうか」
です。構図ってこれだけなんです。最初の段階では、バランスが取れていればよい構図、バランスが取れていなければよくない構図と覚えておくだけで大丈夫です。
応用編として、撮りたいイメージを表現するために、あえてバランスを崩したハイレベルな構図もあります。
構図の基本をしっかり身につけることで、そうした応用表現ができるようになるので楽しみにしてくださいね。
基本構図は上達の近道だけど、マンネリに注意
構図を勉強すると「三分割構図」とかいろんな構図パターンがあることに気づきます。
この基本構図パターンは、人がバランスが取れていると感じる代表的なパターンです。
だから最初のうちは基本構図をマネして撮るだけで、バランスが取れた写真をカンタンに撮れるのでおすすめです。
ただし、基本構図に頼りすぎると別の問題が出てきます。それは、写真がワンパターンになってマンネリ化することです。
例えば定番の三分割構図。万能に使える便利な基本構図です。だけど、なんでもかんでも三分割構図で撮っていると、そのうち飽きてしまいます。
基本構図はあくまでもバランスを取るための目安でしかありません。
基本構図でバランス感覚を理解したら、そのあとは自分のバランス感覚を信じてオリジナル構図を探していきましょう。
プロは構図なんて考えない!って本当?
多くのプロ写真家は「写真を撮るときに構図なんて考えない」って言います。
これは本当に構図を意識していないのではなく、バランスを取る作業が身体に染みついているので、無意識に構図が決まるということです。
したがって、プロ写真家が撮った写真をよく見ると、ちゃんと基本構図に当てはまっていたりします。
最初は基本構図をマネして、あなたのバランス感覚を確認するところからはじめましょう。
何枚もシャッターを押していくうちに、ファインダーを覗きながらバランスを考えられるようになります。
やがて、基本構図を意識しなくても、自分のバランス感覚だけで構図を決められるようになりますよ。
構図が一気に上手くなる!構図上達の練習ステップ
構図を効率的に身につける、練習ステップを紹介します。
構図はちょっとしたポイントを抑えるだけで見違えるほど上達します。
やみくもに撮るのではなく、このステップを一つ一つ踏まえながらシャッターを押してみてください。
構図上達のステップ(1)主役を決める
構図は「あなたが伝えたい感動を効果的に伝える手段」です。あなたが伝えたいものが明確でないと、ぜったいに構図は決まりません。
夕焼けの太陽、人物、街角で気になったものなど、「なにを撮りたいか?」をハッキリさせましょう。
「なにを撮りたいか?」が決まったら、主役を決めてください。目の前の風景を全体的に撮るのもいいのですが、最初は主役を決めたほうが構図の練習に向いています。
構図上達のステップ(2)基本構図をマネる
主役が決まったら、基本構図をマネて撮ってみましょう。基本構図はこの記事の後半で紹介する「本当に使える6つの基本構図」をみてください。
どの構図を使えばいいかわからない場合は、とりあえず三分割構図をおすすめします。どんな被写体にも使える万能の構図です。
三分割構図の場合、主役を三分割の交点にのせましょう。三分割の交点は4つあります、まずはすべての交点にのせて撮ってみてください。
そのなかで、いちばんバランスがよいと感じるものを選んでください。
「自分のバランス感覚を信じて、自分で選ぶ」ことが大切です。
「間違えたらどうしよう…」って心配するかもしれませんが、ここでは気にせずあなたのバランス感覚を信じてください。自分で選ぶ作業を続けていくうちに、バランス感覚を理解して精度が上がっていきますよ。
構図上達のステップ(3)背景から余計なものを追い出す
次に、撮った写真の背景をよく観察してみましょう。
いろんな方のお写真を拝見して「惜しいなぁ…」と思うのは、背景に余計なものが写っていることです。
余計なものとは、写真を観たときについ視線が移ってしまうものです。例えば…
人物写真の場合は、頭の上に縦の線が入ってツノが生えたように写っているものもそうですね。
ひとつひとつチェックして、主役の他につい視線が移ってしまうものがあったら画面から追い出しましょう。
画面から追い出す方法として、アングルを変えたりズームして画面の外に追い出す、主役の後ろに隠すが挙げられます。
背景から余計なものを追い出しただけで、写真がすごくスッキリすることがわかります。
本当に使える6つの基本構図を解説します
構図の勉強をはじめたばかりの方向けに、本当に使える6つの基本構図をお伝えします。
最初はこれらの構図を一つ一つ試してみてください、それだけで写真がかなり変わります。また基本構図で撮った写真を振り返ると、それぞれの構図に意図があることに気づきます。
例えば、対角構図は写真に流れやリズム感を与えるし、三角構図はどっしりと安定感を感じさせます。
これらの意図を理解して使えるようになると、構図を選ぶのがすごく楽になります。
繰り返しになりますが、これらの基本構図はあくまでも構図の練習です。前に述べたように基本構図に頼りすぎると写真がワンパターンになってしまいます。
基本構図を使えるようになったら、あなたのバランス感覚を信じてオリジナルの構図を楽しむようにしてくださいね。
基本構図(1)万能に使える「三分割構図」
基本構図で最初に覚えておきたいのが三分割構図です。
三分割構図は画面を縦横に三分割した線を引きます。そして線が交わる交点に主役を置くと、バランスよく構図が決まります。また水平線など画面に強い線があったら三分割の線と重ねて配置しましょう。
風景、スナップ、テーブルフォトとあらゆる被写体に使える万能な構図です。
主役を三分割のどの交点に置くか迷ったときは、主役の向きを考えてみましょう。主役の向きが画面の中央を向く場所に置くとバランスが取りやすいですね。
たとえばこの4パターンだと、主役が画面の外を向いているときゅうくつに感じてしまいます。
さらに三分割構図を極めるには、画面の9つの区域すべてに絵になる要素を入れることにチャレンジしてみましょう。
難易度は高いですが、これができるようになると構図の完成度が飛躍的にアップしますよ。
基本構図(2)流れやリズムを与える「対角構図」
三分割構図の次に使いやすいのが対角構図です。画面に斜めの線を意識して、主題や背景を配置しましょう。
橋や建物の建造物、テーブルフォト、街角スナップなど幅広い被写体に使えます。
特に、広角レンズを使って奥行きのある写真を撮りたい場合に便利ですよ。
基本構図(3)どっしり安定感の「三角構図」
三角構図は安定感を生み出す構図です。大きな建物からテーブルフォト、風景写真まで、画面全体を使って大きな三角を描くように撮ってみましょう。
画面の中にいくつか三角形を配置するのもいいですね。
三角形を上下逆にした逆三角形は、反対に不安定な印象を与えます。不安な気持ちを表現するときに使ってみるといいですね。
基本構図(4)視線を集める「トンネル(額縁)構図」
構図がいまひとつ物足りない…、そんなときに便利なのがトンネル(額縁)構図です。
被写体を画面の中央部分に配置して、画面の周囲に別の被写体を配置します。
まるでトンネル越しに風景を眺めたり、絵画の額縁のように主役に視線を集められる構図です。
コツとして、遠くの風景を主役にして、手前のものをトンネル(額縁)に合わせると撮りやすいですね。
このときピントと露出は遠くの主役に合わせましょう。手前のトンネル(額縁)がボケたり暗くなっても大丈夫です。
カメラの位置を少し動かすだけで、トンネル(額縁)と主役の位置関係が変わってしまうので、じっくりアングルを探りながら撮ってみましょう。
基本構図(5)空間を活かす「四分割構図」
三分割構図は画面を縦横3つに分けましたが、四分割構図は画面を縦横4つに分けて、交点に主役を配置する構図です。
<三分割構図と四分割構図>
三分割構図と比べて、主役が画面の外側に配置されているのがわかります。その分、主役が置かれている周りの状況や背景の意味合いが感じられる構図です。
三分割構図だとありきたりな切り取り方になってしまう場合、あるいは主役だけでなく背景の空間を見せたいときに使ってみましょう。
慣れないうちは、四分割のラインや交点ぴったりに合わせるのは難しく感じられると思います。
無理にラインや交点を意識するのではなく、全体のバランス感覚を探りながら何枚も撮ってみましょう。
基本構図(6)主役を活かす「日の丸構図」
良くない構図の代表として有名な日の丸構図です。単純な構図で、画面の中心に主役をドンと置くだけで成立します。主役の魅力を最大限に伝えられる構図です。
日の丸構図は難しいと言われます。その理由は、画面の中央に被写体が置かれるので、画面の左右にどうしても無駄な空間ができやすいからです。
中途半端に日の丸構図を狙うと、バランスが崩れた面白くない写真になってしまいます。構図ビギナーはできる限り日の丸構図を避けた方が無難です。
構図のバランス感覚が身について、自然と構図が決まるようになったら日の丸構図にチャレンジしてみてください。
日の丸構図で作品をつくる条件は、なんといっても主役に存在感があることです。それに加えて、背景がシンプルだとベストですね。
自宅でできる構図練習 トリミングで切り取りを覚えよう
構図の練習をしたいけど、なかなか撮りに行けない…。
そんなときは、いままで撮りためた写真を使って、トリミングをやってみましょう。
この記事で紹介した基本構図を一つ一つ試してみたり、背景の余計なものを追い出してみたり。
ビフォーアフターを見比べることで、どうすれば構図が良くなるか?に気づけますよ。
トリミングはやらないほうがいいと言われることもあります。たしかに、トリミングをせずに作品として仕上げられるのがベストです。
撮影現場で主役の魅力を発見して、その感動をのせたままシャッターを押した写真には力強さがあります。しかし、トリミングした写真はどこか写真のチカラが弱くなったように感じてしまいます。
したがって、構図の練習やどうしてもレンズの焦点距離が足りないときにトリミングを使うのはよいのですが、トリミングに頼りすぎないようにしましょう。
基本構図に満足しないで自分だけの構図表現を楽しもう!
すごい風景を写真に収めても、家に帰ってからパソコンで見るとイマイチに感じる…。
その原因は構図です。構図を身につけないといつまで経ってもイマイチな写真を量産し続けてしまいます。
最初は基本構図を一つ一つ試してみて、構図のバランス感覚を感じるところからスタートしてみてください。
やがて、バランス感覚が身についてくると、基本構図を意識しなくても自然と構図が決まるようになりますよ。
そうすると、写真を撮ることがもっともっと楽しくなります。