5分でわかる単焦点レンズの基本解説
そろそろ新しいレンズを買おうかな?とウェブを調べはじめると「単焦点レンズ」という名前を耳にすると思います。「単焦点」という響きがなにやら特別なレンズのように聞こえますね。
ここでは、単焦点レンズとはなにか?単焦点レンズを使うとどんな写真を撮れるのか?を解説します。
単焦点レンズはあなたの写真の可能性を大きく広げてくれる可能性を秘めています。ぜひこれをきっかけに、単焦点レンズをはじめてみましょう!
Contents
レンズ選びの基本、焦点距離をおさらいしよう
単焦点レンズとは焦点距離が固定されたレンズです。といってもよくわからないと思うので、焦点距離から解説しますね。
レンズをよく見ると「○○mm」と書かれた数字があります、これが焦点距離の表示です。
焦点距離の数字は眼の前に広がる風景に対して、写真に収められる範囲(画角)を表しています。レンズを選ぶときに最も大事な項目ですので、ぜひ覚えておきましょう。
この焦点距離の数字が小さいと広い画角を写真に収めることができます、逆に数字が大きいと一部を切り取った写真を撮ることができます。
焦点距離は広角、標準、望遠の3パターンを覚えておこう
焦点距離の目安として、焦点距離が35mmより小さいレンズを広角レンズといいます。広角レンズを使うと、目で見た風景よりさらに広い画角を写真に撮ることができます。
焦点距離50mmあたりのレンズは見た目に近い範囲を撮れる標準レンズといいます。また焦点距離が70mmあたりより大きいと、目で見た風景の一部を切り取れる望遠レンズとなります。
数字が出てくるので戸惑うかもしれませんが、とりあえず「焦点距離の数字で写真に収められる範囲が変わること」と「レンズには広角、標準、望遠の分類がある」ことを覚えておきましょう。
使っているカメラによって焦点距離と画角の関係が変わる
さて、焦点距離の数字をもう少し詳しく見ていきます。ここでのポイントは、使っているカメラによって焦点距離と画角の関係が少し変わることです。
例をお伝えします。ここに焦点距離35mmのレンズがあったとします。このレンズをフルサイズとよばれるカメラに装着すると、35mmに相当する範囲を撮れる広角レンズとなります。一方で、APS-Cと呼ばれるカメラに装着すると、35mm×1.5=52mm となり標準レンズになります。
すこしややこしいですが、レンズを選ぶときはお手持ちのカメラのフォーマット(撮像素子の大きさ)を確認してから、焦点距離を見るようにしましょう。
基本中の基本!単焦点レンズとは焦点距離が固定されたレンズ
レンズの基本である焦点距離がわかったところで、いよいよ単焦点レンズについて解説していきます。
こちらは単焦点レンズとカメラを買ったときについてきた標準ズームレンズを比較したものです。
ズームレンズには18-55mmと書かれています、これは焦点距離を18mmから55mmまで変えることができる、という意味です。もう一方のレンズは50mmと書かれています。先ほどは18-55mmと焦点距離の範囲が書かれていたのに、これは一つの数字しか書かれていません。
これが単焦点レンズです。焦点距離が50mmに固定されていて変えられない、という意味です。よく見ると、ズームレンズにあるズームリングがないことがわかります。
このように単焦点レンズとは焦点距離を変えるズーム機能がないレンズです。単焦点の単はSingle(単一の)という意味ですね。
単焦点レンズは焦点距離を変えられません。その代わりに焦点距離ごとに細かくいろんな種類があります。
これらのたくさんの種類から使いたい焦点距離のレンズに交換するのが単焦点レンズを使った撮影スタイルです。
単焦点レンズには苦手なシチュエーションもある
焦点距離が固定された単焦点レンズには苦手なシチュエーションがあります。
例えば風景写真。風景写真は構図つまり「眼の前の風景の切り取り方」がポイントです。
どこからどこまで写真に収めるか?を緻密に決めないといけないので、画角を変えられない単焦点レンズはかなり不利です。
例えば、もう少し寄りたいとか、画面の隅に余計なものが写っているとき、ズームレンズなら少しズームするだけで調整できますが単焦点レンズでは難しいですね。
中には単焦点レンズでバッチリ収まる風景もありますが、様々なシチュエーションに対応するにはズームレンズのほうが便利です。
もう一つの苦手なシチュエーションは、限られたシャッターチャンスを瞬時に撮らないといけないケースです。
結婚式が代表的ですね。結婚式はどんどん進行するイベントの中で、シャッターチャンスを次々撮らないといけません。
単焦点レンズは画角を変えたいときにレンズを交換しないといけないので、大事なシャッターチャンスを逃す可能性があります。
ここまでズームレンズの優位性について紹介してきましたが、次は単焦点レンズのメリットについてお伝えします。
画角が固定されているデメリットを吹き飛ばす!単焦点レンズが持つズームレンズにはない特徴について解説します。
単焦点レンズの強みはシンプルな構造ゆえに明るいこと
単焦点レンズの強みを解説するために、レンズの構造について見ていきましょう。こちらは先ほどのズームレンズと単焦点レンズを比較した図です。
通常、カメラのレンズは1枚だけでなく何枚ものレンズでできています。性質の異なるレンズを何枚も組み合わせることで、少しでも画質を良くしようとしているのです。
断面図をよく見ると、単焦点レンズはズームレンズに比べてレンズの数が少ないことがわかります。
ズームレンズは幅広い様々な焦点距離に対応しないといけないので、どうしてもレンズの枚数が多く複雑な構造になってしまいます。一方で、単焦点レンズは1つの焦点距離だけ対応すればいいので、ズームレンズに比べて少ない枚数のレンズで構成できます。
レンズの枚数が少ないということで、単焦点レンズはズームレンズに比べて嬉しいことがいくつかあります。そのなかで最大の特徴は、単焦点レンズはズームレンズに比べてたくさんの光を取り込めるという点です。
言い換えると、単焦点レンズはズームレンズに比べて明るいレンズを作りやすい、ということです。
単焦点レンズの開放F値は高級ズームレンズを上回る
ここでカメラの基本についておさらいです。カメラは光を取り込む加減をF値(絞り値)という設定でコントロールできましたよね。
f値(絞り値)についてよくわからない方はこちらを参照してください。
f値(絞り値)の設定として、絞りを開ける(f値を小さくする)側には限界値があります。その限界値とはレンズの明るさである開放F値です。
いくら高価なカメラを使っても、f値(絞り値)をレンズの開放F値より下げることができません。f値(絞り値)の限界はレンズが決めるのです。
ズームレンズの開放F値は、カメラを買ったときについてくるリーズナブルなレンズでF3.5からF5.6。1本何十万円もする高級なズームレンズでF2.8が一般的です。
一方で、単焦点レンズではF1.8やF1.4といった、高級ズームレンズよりずっと明るいレンズがお手頃な価格で手に入ります。
レンズの開放F値が小さいということは、f値(絞り値)を選択できる幅が広がるので、より多彩な表現で写真を撮れるようになります。
例えば、f値(絞り値)を小さくすることで、被写界深度のごく浅い大きなボケの写真を撮ったり、暗い場所でも手持ちでブレなく撮れたり、ノイズの少ないスッキリした写真を撮れるようになります。
単焦点レンズの強みを活かせるシチュエーションとは?
単焦点レンズの強みである「開放F値の明るさ」を活かせるシチュエーションとして、ポートレート、ボケを活かした写真、星空、ホタルなどがあります。
こうした写真はズームレンズだとなかなか撮ることが難しい、単焦点レンズならではのシチュエーションです。
単焦点レンズはズームレンズより劣っているとか、優れている、というわけではありません。それぞれ得意なシチュエーションと不得意なシチュエーションがあるだけです。
「合理的なズームレンズ、こだわりの単焦点レンズ」と覚えておくといいですね。
まとめ
まとめると、単焦点レンズはズームレンズのように焦点距離を柔軟に変えられないレンズです。そのために、単焦点レンズはズームレンズに比べて構造がシンプルで、開放F値の明るいレンズが多いことが特徴です。
この明るい開放F値を活かすことで、大きなボケや暗いシチュエーションなどズームレンズには撮れない写真を撮ることができます。一方で、風景写真や結婚式など単焦点レンズが苦手とするシチュエーションもあります。
そんな単焦点レンズは、実は多くのプロカメラマンが好んで使うレンズなんです。初心者の方こそ単焦点レンズを使ってほしい!その理由をこちらで解説しています。
単焦点レンズを買ってみたい!と思ったら、こちらの記事でおすすめの単焦点レンズを紹介しています。あなたに合った1本と出会えますよ。