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被写界深度の基本と応用|写真のボケを操って表現力をアップしよう

被写界深度ってなんだろう?

レンズのことやf値(絞り値)を勉強すると被写界深度という言葉が出てきます。漢字5文字のなにやら難しそうな雰囲気を漂わせていますが、要はボケ具合です。

ここでは被写界深度の基本、被写界深度を操るメリットとコツについてお伝えします。被写界深度を正確に理解する必要はありませんが、写真表現力のアップには欠かせない概念なのでしっかりと理解しておきましょう。

最初にお伝えしましたが、被写界深度とは写真のボケ具合です。

ボケ具合をなぜ難しい言葉で表現するのかというと、ボケ具合というあいまいな言葉では、正確に他の人へ伝わらないからです。

例えばある写真を見て「すごくボケた写真」「ボケが少なくてクッキリした写真」と表現しても人によって捉えるイメージが違いますよね。

写真を見せ合うだけならまだしも、カメラの設計のようになんでもキッチリ決めないといけない専門分野では、物事を数字で正確に伝える必要があります。そこで、ボケ具合をメートル、センチメートルといった距離で表現するようにしたのが被写界深度です。

といっても、写真を撮る人が「この写真は被写界深度は何センチメートル」と表現することはまずありません。

プロカメラマンでも「被写界深度 何センチメートル」というふうに正確に数値で理解しているわけではありません、ボケ具合は感覚的に理解しています。大事なことは、被写界深度という概念をちゃんと理解しているかどうかです。

被写界深度の理解の前に、そもそも写真はボケるもの

「ふんわりボケた写真を撮れる」のは一眼レフならではですよね。

そもそも写真はボケるものです。

実際に、カメラのレンズと同じ構造をしている、人間の目で確かめてみましょう。周りを見渡して、近くにある1点をじっと見つめると、周囲の背景がボケていることがわかると思います。

これをカメラに置き換えると、近くの○○にピントが合っていて、背景がボケている状態です。

カメラはレンズを通した光から絵を作ります。レンズを撮った光がカメラ内部の撮像素子に光の絵を作ることを結像といいますが。結像は、本来は3次元の世界を2次元に置き換えているので、いろいろと無理が出てきます。

その一つがピントです。カメラはピントを平面で合わせます。すると平面から奥行方向に離れてしまうとピントが合わせられなくなり、ボケて見えます。これは写真の仕組みとして避けられません。

カメラの構造や撮り方を工夫することで、ボケが少なく見える写真(たとえばパンフォーカス)を撮ることができますが、そもそも写真はボケるものです。

被写界深度とは「ピントが合ったように見える範囲」のこと

例えばこちらの写真、”ものさし”を斜めから撮った写真です。ものさしの10cmの目盛りにピントを合わせています。

ピントを合わせた位置では数字と目盛線をクッキリと読むことができます。ところが、ピントを合わせた位置から離れるにつれて、数字と目盛線がボケてきます。また、ピントを合わせたい位置から離れるほどボケが大きくなっています。

こちらの写真はどうでしょうか?カメラの位置は動かさずにf値(絞り値)を変えています。先ほどの写真に比べてボケが小さくクッキリしているように見えます。

ピント位置からの距離でボケ具合を比較すると、1枚目は±0.5センチ離れるとボケが大きくなりますが、2枚目は±4センチまでボケていないように見えます。

このピントが合っているように見える範囲が被写界深度です。1枚目はおよそ被写界深度 約1センチメートル、2枚目は被写界深度 約8センチメートルです。被写界深度はピントを合わせた位置から手前と奥の両方向に伸びることがわかります。

左側は被写界深度が2cmと短いので被写界深度が浅いといい

右側は被写界深度が8cm長いので被写界深度が深いといいます。

距離を深さで表現するのが特徴ですね。

被写界深度がいくら以下なら浅い、という目安の数字はありません。写真に収めたい奥行きに対して、背景がボケていれば浅い、ボケていなければ深いと表現します。

ちなみに、被写界深度を英語で表現すると「Depth of field (=場の深さ)」なので「深度」という用語が使われます。

つまり被写界深度とはボケ具合のことなんです

このように被写界深度とはピントが合っているように見える範囲です。

それを写真の見た目で言い換えると、

被写界深度が浅い写真とは、ピントが合ったところ以外が大きくボケた写真

被写界深度が深い写真とは、手前から奥までクッキリ見えるボケが少ない写真です。

被写界深度(=ボケ具合)のコントロールが写真表現の決め手

ここまで、被写界深度は写真のボケ具合に関係することをお伝えしました。次に被写界深度をコントロールするメリットをお伝えします。被写界深度のコントールはいい写真を撮りたい方にとって、とても大事なポイントです。

背景をボカして主題を浮き上がらせる

いい写真とは、何を撮ったか?がわかる写真でしたよね。何を撮ったか?をわかりやすく伝えるために、引き算で主題を引き立たせる構図で撮るのが基本です。

例えばこちらの写真。1枚目は被写界深度を浅くして背景が大きくボケた写真で、主題がボケの中に浮かび上がって見えます

こちらの写真は1枚目に比べて被写界深度がやや深く、背景が少しボケた写真です。背景の葉っぱがうるさくならない程度に見えるので、撮影現場のシチュエーションを伝えることができます。

被写界深度で写真の印象を変える

また被写界深度(=ボケ具合)が浅い場合と深い場合で写真の印象が変わります

例えば、こちらはテーブルフォトを被写界深度を変えて撮り比べてみました。被写界深度を浅くして背景のボケを大きくするとふんわり柔らかな優しい雰囲気に仕上がります。

一方で、被写界深度を深くして背景までクッキリ写すと、しっかりマジメな印象の写真に仕上がります。

また人物写真も被写界深度(=ボケ具合)で印象が全く異なります。被写界深度が浅いと人物を浮かび上がらせた幻想的な写真になりますが

被写界深度が深いと背景のシチュエーションを活かした写真に仕上がります。

このように、被写界深度(=ボケ具合)は写真の印象という写真表現の大事な要素の決め手です。被写界深度を意識してコントロールできるようになると、写真の表現力がグンとアップします。

被写界深度を”浅く”するといいシチュエーション

被写界深度が浅い(=ボケが大きい)撮り方が有効なケースとして、テーブルフォトがあります。

また花のクローズアップ写真でも、花の一部にピントを合わせて他をボカすことで花の造形の特徴を捉える写真を撮ることができます。

こちらの写真は被写界深度を浅くして前ボケを活かした作品です。普通に撮ると物足りないと感じるシチュエーションでは、このように被写界深度を浅くして大きなボケを画面に入れると構図のバランスが良くなります。

被写界深度を”深く”するといいシチュエーション

被写界深度を深くするといいシチュエーションは風景写真が代表的ですね。画面の隅、手前から奥までクッキリピントをあわせることで、広大な風景を迫力ある絵で伝えることができます。

料理写真でも被写界深度を深くして手前の料理だけでなく、奥の小物までピントをあわせることで、格式高い印象の写真に仕上がります。

同じように、お店のホームページに掲載するインテリア写真でも、被写界深度を深くして手前から奥の様子までピントを合わせることで、写真を観た人に安心感を伝えることができます。

画面の隅までピントが合っている状態をパンフォーカスといいます。パンフォーカスについてはこちらをご覧ください。

初めてのパンフォーカス撮影!レンズ+絞り値+ピント位置 の組み合わせ方

このように、なんでもボケた写真とか、パンフォーカスの写真とか、一つの表現方法にこだわるのではなく、ボケ具合を工夫することでシチュエーションと伝えたいイメージに合った写真を撮ることができます。つまり、被写界深度をコントロールできるというのは、思いどおりの写真を撮れる大事な技術です。

被写界深度をコントールする3つの要素

さて、被写界深度(=ボケ具合)をコントロールできることで、写真表現力がアップすることがわかりました。では被写界深度をコントロールする方法についてお伝えします。

被写界深度は次の3つで決まります。

    (1)f値(絞り値)
    (2)レンズの焦点距離
    (3)ピント位置

(1)被写界深度を操る方法 その1 「f値(絞り値)」

f値(絞り値)の解説で、f値(絞り値)はボケ具合を変えると言いましたね。このように、f値(絞り値)を変えると背景のボケ具合が変わります。

f値(絞り値)を変えた作例(焦点距離 50mm、ピント位置1.5m)

 

f値(絞り値)を小さく(開ける)と被写界深度が浅くなってボケやすくなる
f値(絞り値)を大きく(絞る)と被写界深度が深くなってボケにくくなる
ですね。

f値(絞り値)で被写界深度を変えるのは基本中の基本です。ただし、使うレンズや撮るシチュエーションによってはf値(絞り値)だけだと狙い通りの被写界深度が出せないことがあります。

そんなときは、後で説明するように被写界深度を決める他の2つの要素を上手く組み合わせて、狙った被写界深度を出せるようにしましょう。

(2)被写界深度を操る方法 その2 「レンズの焦点距離」

ボケ具合はf値(絞り値)で決めるのはよく知られていますが、レンズの焦点距離でもボケ具合が決まるのはあまり知られていません

焦点距離を変えた作例(f 5.6、ピント位置 3m)

 

このように、同じf値(絞り値)でもレンズの焦点距離を変えると被写界深度(=背景のボケ具合)が全く違います。

焦点距離が長い(望遠)レンズを使うと被写界深度が浅くなってボケやすくなる
焦点距離が短い(広角)レンズを使うと被写界深度が深くなってボケにくくなる

つまり、広角レンズを使って被写界深度の浅いボケた写真を撮ろうとしても、いくらf値(絞り値)を開けてもボケないので大変です。逆に、望遠レンズを使って被写界深度の深いパンフォーカスの写真を撮ろうとしても、すぐにボケてしまうのでこれも大変です。

(3)被写界深度を操る方法 その3 「ピント位置」

最後に、被写界深度を決める要素に「ピント位置」があります。このように、同じf値(絞り値)で同じ焦点距離のレンズを使っても、ピントを合わせる位置を変えると被写界深度(=背景のボケ具合)が変わります。

ピント位置を変えた作例(焦点距離 50mm、f 1.8)

 

写真をスライドするとわかるように、ピント位置が近いほど被写界深度は浅くなります。つまり、背景を大きくボカしたいときは、ピントを合わせる主題にカメラをグッと近づけて撮るのがおすすめです。

特に、マクロレンズのように被写体に対して数センチまでグッと寄れるレンズでは、思った以上に被写界深度が浅くなってボケが大きくなります。たとえばこちらの作品はf値(絞り値)をf10まで絞っていますが、ピント位置が十分近いので背景が大きくボケています。

被写界深度を有効活用できるピント位置は手前1/3

また、被写界深度はピント位置を基準に手前と奥方向に伸びますが、奥方向の方が長く伸びます。

これを利用して、テーブルフォトのような静物撮影ではピントを合わせたい範囲の、手前から1/3の位置にピント位置を置く方法も有効です。

まとめ

いかがでしたか?被写界深度と聞くと難しい印象がありますが、要は写真のボケ具合です。被写界深度をコントロールできるようになると、写真表現の幅が相当広がります。f値(絞り値)、焦点距離、ピント位置の3つの要素を意識しながら撮影してみてくださいね。

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